プレミアリーグの時間BACK NUMBER
「今夏の補強予算に上限なし」
マンUファンハール新体制は盤石か。
posted2014/07/25 10:40
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
AFLO
監督交代に踏み切ったクラブは、最初にムード一新のインパクトを新監督に求めるもの。ルイス・ファンハールは、マンチェスター・ユナイテッドでの就任会見を以て、早くもこの第1タスクを完了したと言える。
就任1年目に職を追われたデイビッド・モイーズ前監督の下で、昨季を無冠のプレミアリーグ7位で終えたマンUは、チームとしての自信を失った。ダービーでの完敗後、地元の宿敵マンチェスター・シティを「目指すべきレベルにある」と評した指揮官の発言にファンのプライドは傷ついた。
その点、後任監督として昨季最終節の翌週に就任が決まっていたファンハールは、チームとファンが負ったダメージを補って余りある自負心の持ち主だ。
7月17日のお披露目の席で口にした「オランダ、スペイン、ドイツでのナンバー1クラブを経て、イングランドのナンバー1クラブにやって来た」というセリフ。この一節だけでも、マンUの関係者とファンは、運命の「赤い糸」で結ばれているかのような実力者の就任に胸の高鳴りを覚えたことだろう。
マンUへの評価は急上昇、優勝候補にも。
新監督は、初挑戦のプレミアでも「目標は常に首位の座。4位狙いなどはあり得ない」と断言している。モイーズが「最大限努力する」と繰り返す度に不安と不信を強めたファンは、「ユナイテッドの指揮官たる者、こうでなくては」と痛感したに違いない。
必然的に、ファンハールのマンUに対する巷の期待度は急激に上昇した。
「優勝を狙える」、「トップ3漏れなど考えられない」という声は、一介のファンのものではない。それぞれマンUのOBという顔を持ってはいても、現在は解説者の立場にあるドワイト・ヨークとマイケル・オーウェンの見解だ。つい2カ月ほど前までは、2010年のトップ4落ちからCL復帰に5シーズンを要した「リバプールの二の舞」を危惧する識者が少なくなかったのだから、大した変わり様だ。