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「今夏の補強予算に上限なし」
マンUファンハール新体制は盤石か。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2014/07/25 10:40

「今夏の補強予算に上限なし」マンUファンハール新体制は盤石か。<Number Web> photograph by AFLO

7月17日監督就任会見に臨んだファンハール監督(左)とクラブのレジェンドであり現理事のボビー・チャールトン。

強力3トップを生かすためにも、3-4-3は最適。

 というのも、CBの補強具合がファンハール色の強弱を大きく左右することになりそうだからだ。つまり、オランダ代表で奏功した3バック導入の成否はCBの手駒次第。安定した守備力に足下の技術、さらに機動力を備えた新CBが加入すれば、基本システムとまではいかなくても、使用頻度の高いオプションとして3-4-3は現実味を帯びる。同時にマンUというクラブにとっては重要な、攻撃面における「旨味」もあるシステムだ。

 ファンハールは、ファンペルシの両サイドにウェイン・ルーニーとフアン・マタを配する3トップを前線の基本形と考えているとされる。但し、ルーニーとマタは揃ってトップ下でのプレーを好むタイプ。ともすれば、展開が中央に偏り、難なく敵に守られてしまう。だが、ウィングバックが頻繁に上がって攻撃に幅をもたらす3-4-3であれば、前線両サイドの2名はインサイドに流れて展開に絡み易くなる。

 加えてルーニーには、機を見てファンペルシとポジションを入れ替わり、センターFWとしてプレーする自由度も増す。チームには、右サイドに攻撃的SBのラファエウとハードワーク可能なウィンガーのアントニオ・バレンシア、左には新加入のルーク・ショーというウィングバック適任者が既にいる。

 もっとも、左SBにはバックアッパーが必要だ。ショーは19歳という若さであり、ベテランのパトリス・エブラはユベントスに移籍している。新ボランチとして、代表でファンハールの信頼を得ているダレイ・ブリントの獲得が噂されている背景には、左SBもこなせる利便性もあるに違いない。

中盤中央でお眼鏡に適うのはキャリック1人。

 その中盤中央も、最終ラインと並ぶ昨季マンUの弱点。駒数は足りていても強度と質が不足している。いまのところ「私のサッカー哲学への適応具合を見てから」と言うファンハールに、戦力入れ替えを急く様子はない。

 しかしボール支配には拘らずとも、足下で速く正確なパスを繋ぐスタイルに順応できる両足の技術を持つ既存センターハーフはマイケル・キャリックぐらいだろう。練習では、受け手の利き足にミドルレンジのパスを届ける精度を要求されるとも言われるほどなのだ。

 フィジカルには申し分のないマルアヌ・フェライニが、移籍翌年にして放出対象と目されているのも、人とボールが素早く動くサッカーで生きるとは思えない選手だからだろう。

【次ページ】 香川真司を中央で起用できれば一石二鳥だが……。

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