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その存在感はベッケンバウアー級。
ノイアーが示した「リベロGK」の衝撃。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2014/07/19 10:30
最優秀ゴールキーパーを称える「ゴールデングローブ賞」のトロフィーを掲げるノイアー。名実ともに今世界最高のGKと言えるだろう。
パス成功数244本は、メッシよりも多い数字だった。
ノイアーのW杯におけるパス成功率は82%で、5試合以上プレーした選手の中で22位につけている。パス成功数は244本で、全選手の中で26位。メッシよりも多くのパスを通しているのだ。
ノイアーと同じくシャルケユース出身で、'10-'11シーズン終了までシャルケでともにプレーしたヘベデスは、彼の大きな変化を感じている。
「シャルケ時代にもものすごい活躍を見せる選手だったけど、バイエルンへ移籍してさらに成長したんじゃないかな」
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ノイアーは、昨シーズンからバイエルンの監督に就任したグアルディオラのもとで、ドイツ代表につながるような役割を意識させられていると語っている。
「ペップはDFラインを高く保つので、僕もこれまで以上に多くのプレーにかかわることになった。リベロのようにロングボールを蹴り、ゲームの組み立てに参加しないといけないし、ペナルティエリアを出るギリギリのところに立っていないといけないんだ。それにヘディングでクリアする練習も何度もしたからね。ペナルティエリアの外に出てクリアする準備もバッチリさ」
名守護神を輩出してきたドイツサッカーの懐の深さ。
ケプケGKコーチは、こう話す。
「ドイツには長い間リベロがいなかったんだ。だけど、ノイアーがそういう選手だと言うのは、決してお世辞ではないんだよ」
自らの持っている能力とペップの下でのトレーニングを経て、ノイアーはW杯で新たなキーパー像を作り出した。
シューマッハーに始まり、21世紀に入ってからもカーンやレーマンなど、優秀なキーパーを次々と輩出してきたドイツ。今大会のドイツ代表のメンバーからは外れたものの、新シーズンからバルセロナでプレーするテア・シュテゲンはノイアー以上のキックの精度を誇っている。
ともすれば脇役と片づけられてしまうキーパーというポジションに脚光が当たる。そのあたりにドイツサッカーの懐の深さと、強さの秘密があるのかもしれない。