濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
ケージの中であがき続ける37歳。
“闘うフリーター”所英男の最後の夢。
posted2014/07/17 10:30
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Susumu Nagao
7月13日、ディファ有明で旗揚げ大会を開催した『GRANDSLAM -Way of the Cage-』は、時代の要請によって生まれたイベントだ。
試合場はリングではなくケージ、ルールもアメリカのアスレチック・コミッションが認定するヒジ打ちありのユニファイド(統一)ルールを採用している。
これは、総合プロデューサーを務める勝村周一朗の提案によるもの。ジムを経営し、プロ選手を育てる指導者でもある勝村にとって、アメリカと同じフォーマットで試合ができる場所を作ることが最大のテーマだったのだ。
日本にはまだケージファイトの舞台が足りない。
一昨年、『VTJ』がケージ/ユニファイドルールのイベントとしてリニューアル。パンクラスも今年5月からナンバーシリーズ(本大会)に同様の変更を施した。それでも、日本にはケージファイトの経験を積める舞台が足りていない、と勝村は考えている。
それだけ、アメリカでの活躍を目指す選手が増えているということ。まして、これまで日本で主流だったリング/ヒジなしとケージ/ヒジありとでは求められる技術や戦略も違ってくる。早い段階で“最終目的地”での闘い方に慣れておくことが重要なのだ。『GRANDSLAM』では、採点基準をアメリカに合わせるために、選手育成の最前線にいるジム代表者(中井祐樹、長南亮、大沢ケンジ、植松直哉)を審判団に起用した。
本戦前には『SURVIVOR』と題し、キャリアの浅い選手たちの試合をマッチメイク。アマチュアMMAマッチも組まれた。いずれ日本からも、『VTJ』、パンクラス、『GRANDSLAM』でキャリアを積んだ、ケージでしか試合経験のない選手が台頭してくることになるのかもしれない。