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今年の全英は“前回王者”が2人!?
ウッズとミケルソン、磐石の完熟期。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byJun Hiraoka
posted2014/07/16 11:15
練習から多くのギャラリーを惹きつけるタイガー・ウッズ。6月の復帰戦は予選落ちを喫したが、照準は全英に合わせてきた。38歳、円熟のタイガーが見せてくれるゴルフが楽しみだ。
'06年以来、ウッズの人生は大きく変わった。
あれから8年。再びロイヤルリバプールにやってきた38歳のウッズは、54ホールに渡る練習ラウンドをこなした後、しみじみとこんな言葉を口にした。
「あの'06年の優勝以後、僕の人生はすっかり変わった」
その「変化」の中身は、アドバイザーでもあった父親を失い、自分自身は2人の子供の父親になり、そして'09年の不倫騒動の末にスランプや離婚を経験するなど、ウッズが身を置く諸々の環境が主なものだ。
だが、今のウッズが一番強く感じている変化は、肉体に対するポジティブな変化。言い換えれば、その変化は、イコール「自信」のようだ。
故障明けでも、「僕の許容範囲は常に1位だけ」。
今年3月に腰の手術を受け、マスターズと全米オープンは欠場を余儀なくされた。この全英オープンが、ウッズにとって今季初のメジャー大会。準備不足は言うまでもなく、試合勘も失っている。普通に考えれば、勝算があるはずはない。
だが、思い切って手術を受けたことで痛みから解放された。以前はハードヒットできなかったのに、今ではそれができると実感できている。
「僕の肉体は、より強くなりつつある」
肉体が強靭化したという感覚や自信が高まった今、勝利に対する自信も自然と高まる。今大会を迎えるまでの練習不足や試合勘の欠如を憂慮したメディアに「何位までなら許容範囲か?」と会見で問われると、ウッズは毅然と即答した。
「1位だよ。僕の許容範囲は常に1位だけだ」
勝つためだけにプレーする。8年という長い歳月が経過しようとも、生活環境や人生が様変わりしようとも、勝利だけを追求する姿勢は普遍。そんなウッズは今なお、ホイレイクの街のヒーローのままだ。