ブラジルW杯通信BACK NUMBER
歴史的敗戦をセレソンはどう語ったか。
茫然、無言、饒舌……それぞれの傷。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byGetty Images
posted2014/07/09 12:05
試合後、重い足取りで帰ってくるダビド・ルイスを迎えたチアゴ・シウバ。目は腫れ、心なしか2人の姿が小さく見える。王国ブラジルは準決勝で敗れ、3位決定戦に回ることになった。
自国開催の2014年W杯は、失敗として語り継がれる。
フレッジの言葉が蘇る。
「この敗戦は、僕らの生涯にずっとついてまわるだろう」
もしブラジルが3位になったとしても、その勝利は祝福されることはない。大会の行方がどうなろうが、自国開催の2014年ワールドカップは、失敗として語り継がれることになる。そしてこの試合でプレーした選手たちは戦犯として、誰もがこの傷と共に一生を過ごすことになる。
1時間が経過した。広報が最後に現れたダビド・ルイスの背中を押す。彼らは合宿地へ戻る飛行機に乗らなければならない。
がらんとしたミックスゾーンの片隅、ジュリオ・セザルは何か答えを見つけようとするかのように話し続けていた。