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対ダルビッシュ通算7勝1敗の秘密。
アスレチックスが徹底する「待ち」。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2014/05/06 10:40
5月1日時点で防御率は2.59と順調なスタートを切っているが、援護もなくまだ勝ち星は1つ。相手チームから対策を練られるエースとして、さらなる飛躍を見せることが出来るか。
4回までに83球を投げさせた待球作戦。
そうした裏付けが、4月28日の対戦では攻略につながった。ダルビッシュのイニングごとの球数は……
1回 19球
2回 20球
3回 31球
4回 13球
ダルビッシュが対戦した18人の打者のうち、初球から手を出していったのは3番のドナルドソンが2度、そしてカヤスポ、ジェイソが一度ずつだ。1、2回に限って言えば、ドナルドソンだけが初球から思い切りバットを振っていった。打線全体が落ち着いていた。
ドナルドソンはチームの主力打者だから、ある程度の自由が認められていると考えていいだろう。ドナルドソンはキャンプでの私の取材に対して、
「ダルビッシュは三振を狙ってくるタイプの投手だから、それを逆手にとって、球数を打線全体で投げさせる。その方針はみんな理解しているね。ただ、甘い球はなかなか投げてこないので、僕の場合は浅いカウントであっても、自分のゾーンに球が来れば、積極的に打っていくよ」
と話している。
ストライクを取られても、粘り強く失投を待つ。
打線全体を見てみると、特に注目すべきは2回の攻撃で、ダルビッシュは4人の打者に対してすべて1球目にストライクを取ったのだが、結局、スリーアウトを取るのに20球を要してしまった。
すぐにストライクを取られたとしても、粘り強く失投を待つというのがアスレチックスのスタイルなのだ。
アスレチックスとしては、もはやダルビッシュに対しての苦手意識はない。
そうなると、ダルビッシュの「リベンジ」が気になる。次回のレンジャーズとアスレチックスの対戦は6月16日からの3連戦。ローテーションのタイミングでダルビッシュがマウンドに上がるかは未知数だが、次回の対戦では対策を練ってくるだろう。