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対ダルビッシュ通算7勝1敗の秘密。
アスレチックスが徹底する「待ち」。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2014/05/06 10:40
5月1日時点で防御率は2.59と順調なスタートを切っているが、援護もなくまだ勝ち星は1つ。相手チームから対策を練られるエースとして、さらなる飛躍を見せることが出来るか。
2球で追い込む戦略がリベンジのポイントに。
まず、ドナルドソン以外の打者は、初球を見逃す確率が極めて高いから、ストライクを先行させることが肝要になる。
4月28日の登板では、3回、4回と初球にボールが先行するようになり、降板の要因を作ってしまった。
そして2球目が重要だ。
実は前回の対戦では18人の打者のうち、0-2と2球で追い込んだケースは一度もなかった。2球ですぐに追い込む。これがひとつのポイントになる。
面白いのは、他の球団はアスレチックスと同じような作戦をなかなか採れないということだ。
もっとも対照的なのはヒューストン・アストロズで、ダルビッシュに対しては「追い込まれたらチャンスはない」という発想から、浅いカウントから手を出して凡打の山を築いている。これは昨季からで、今季も変化がない。ダルビッシュの「お得意様」である。
それだけアスレチックスの打者は、「素質」として打席での我慢強さを持っているのだろう。
大スターがいなくとも、2年連続で地区優勝を飾り、今季も地区首位を走っている理由がそこに見える気がする。