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小林可夢偉、約束を果たしたF1復帰。
この時を見据えた特別な“準備”とは。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2014/01/22 12:00
2012年の日本グランプリで表彰台に上った時の可夢偉。この雄姿が再び鈴鹿の地で見られることを期待したい!
F1復帰のために集まった8億8000万円の募金。
F1残留を初めてあきらめることになった'12年12月18日。可夢偉はこう言って、'14年への復帰を誓っていた。
「なんとか当初の目標に近い800万ユーロ強(約8億8000万円)の予算はありましたが、残念ながら僕が求めていた、戦えるチームでの2013年のレースシート獲得は不可能という状況になりました。『KAMUI SUPPORT』に寄付してくださった皆様、ならびに支援を申し出て下さっていた企業様のご期待に応えることができず、本当に申し訳なく思っております。皆様からの寄付金は、そのまま大切にお預かりして2014年度のF1レースシートを獲得するための資金とさせていただきます。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします」
その中には、少年少女からの募金もあった。だから、残るシートが2013年度最下位のケータハムだけとなっても、あきらめるわけにはいなかったのだ。
「この募金はチームが前進する力になります」
「昨年末から、チーム代表のシリル・アビテブールとチームオーナーのトニー・フェルナンデスのふたりと、2014年とその先についての交渉をしていました。彼らが考えているチームの目標やそのために実際に行われている投資状況などに感心させられました。なによりもチームが僕のこれまでのレースの実績と経験を評価して起用してくれたことを光栄に感じています」
F1残留をあきらめた'12年12月18日から、399日後の'14年1月21日。可夢偉は約束を果たしたのである。そして、言った。
「『KAMUI SUPPORT』に募金してくださったファンのみなさまにお礼を申し上げます。実際に集まった募金はもちろんのこと、これだけ多くの方がサポートしてくれたというみなさまの行動が、今回のF1復帰に向けて力強い後押しになりました。この募金は、僕を助けてくれただけでなく、これからチームが前進する力になります。2014年は『KAMUI SUPPORT』に募金をしてくださったみなさまと一緒に戦うことになりますし、僕はそのことを大変誇りに感じています」
その思いはサポートしてきたファンも、同じではないだろうか。
2014年、僕たちが応援する可夢偉がF1に帰ってくる。