ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
トップゴルファーに触れ、己を磨く……。
“アジアンツアー武者修行”の重要性。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byKYODO
posted2013/11/07 10:30
ブリヂストンオープン2日目を「67」で回り首位タイに立った丸山大輔は、最終日には2位に3打差の通算10アンダーで4年ぶりの優勝を飾った。
タイガーやガルシアが登場した、タイでの試合。
丸山大輔がアジアに初めて挑戦したのは2000年だった。当時は日本のシードが無く、伝手もないままマレーシア・ジョホールバルでの予選会に臨み、アジアンツアーへの出場権を手にした。そんな丸山が今も記憶に残っているというのが、同年タイで行われたジョニー・ウォーカー・クラシックだ。
「タイガー(ウッズ)や(セルヒオ)ガルシアが来ていて。一緒にプレーはできなかったけれど、あれが初めてトップ選手と戦った試合だった」
その後も丸山はアジア転戦も続けながら、'05年に日本ツアー初勝利。同年末に米ツアーの予選会に初挑戦して出場権を獲得。'06、'07年に米ツアーに本格参戦した。
「あのアジアでの経験があったから、アメリカにも抵抗なく挑戦できた」
と語る丸山。若い頃にビッグネームを間近で見たことが、新天地へ挑む後押しとなったのだ。
「明日はエルスと回るんだ」という衝撃の体験。
今年、若かりし丸山に似た経験をしたのが'11年からアジアに参戦した25歳の片岡大育である。未勝利の片岡のハイライトは今年5月に出たインドネシアでの試合。首位で3日目を終え、最終日最終組でプレーをした。最終的には3位に終わったが、その日の18ホールが何せ刺激的だった。一緒にラウンドしたのがメジャー4勝のアーニー・エルスだったからだ。
「3日目が終わって練習グリーンにいたら、エルスが近寄ってきて『ナイスプレー』って声をかけてくれたんです。“マジか!”って思いましたよ。寝る前も『明日は首位から回るんだ』ってことよりも、『明日はエルスと回るんだ』ってことの方が頭の中にあった」
日本に留まって4大メジャーへの出場機会だけを待っていたら、こんなチャンスは一生訪れなかったかもしれない。
「もちろんショットは全部すごかった。アジアは芝が日本と違うから、アプローチの引き出しも増やさなくてはいけない。でもエルスはどんな状況でも冷静にプレーしていたのが勉強になった」
片岡は依然としてタイトルこそないが、今季は初めてシーズン半ばで、翌年の日本とアジア、両ツアーの賞金シードを確実にしている。