日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
W杯切符逃したセルビアに0-2……。
日本代表の攻撃に足りないものとは?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/10/12 12:35
お互いに決してチャンスは多くなかったが、その少ないチャンスをセルビアは確実にものにした。これが欧州の強豪との差なのだろう。
内田篤人「2失点よりゼロ得点が悔やまれる」
この日、徹底的にマークされた長友に代わって、攻守で効いていた逆サイドの内田篤人は「失点は悔しいし、課題なんですけど(きょうは)2失点よりゼロ得点のほうが悔やまれる」と言った。他のメンバーも同じような反応が多かった。
「監督もハーフタイムにテンポ(を上げろ)と言っていたけど、ボールを持つ時間が長かった。もっとワンタッチ、ツータッチでボールを動かしていくことができれば、もう少し相手も崩れたかなとは思う」(長谷部)
「単純にクロスを上げても、2、3本クリアされていた。あそこで切り返して一度バイタルエリアに入れて、(センターバックの)イバノビッチの前に一人が入ってくるとか、動きが必要だと思った」(香川)
日本のストロングポイントを活かすためにバリエーションを増やすこと、バージョンアップは大切だ。だがイマジネーションの共有が前提になる以上、より高度になってくる。ただこういった作業に併行して、カウンター、セットプレーなど困ったときに出せるカタチづくりも必要になってくるのではあるまいか。柿谷という適任者が1トップにいるのだから、武器となるカウンターを持っておくに越したことはない。
次に必要なのは、攻撃の意識改革。
内田の次の言葉が実に印象的だった。
「もっと臨機応変にやらないとダメだと思う。どれか一つだけの方法でやろうって、(サッカーは)そういうもんじゃないから」
押してダメでも、もっと押し続けて突破してみようというのが今のザックジャパン。でもどうやって押し続けていいか分からずに力任せでやってしまえば、逆効果になる。
押し続けることだけじゃなく、引いてみることも時には肝要だ。
そっちのほうが気持ちにゆとりが出て、最後の精度にも関係するのでは、などと思ったりもする。
守備の意識改革の次は、攻撃の意識改革。
危機感が意識を変える。ゆえにこのセルビア戦もターニングポイントの一つなることを願うばかりである。次は15日に行なわれるベラルーシ戦。チャンスの数、いかにチャンスをつくったかという「過程」ではなく、あの手この手でゴールを奪うという「結果」にこだわるザックジャパンを見たいものだ。