野球クロスロードBACK NUMBER
楽天を常に前進させ優勝に導いた、
AJ&マギーの計り知れない貢献。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/09/27 12:00
ジョーンズと共にスタンドのファンに挨拶をして回っていた田中。メジャー生活17年のうち14回の地区優勝を経験しているジョーンズは、まさに“優勝請負人”の面目躍如。
前向きな姿勢を持続できた理由とは?
しかも、ふたりの貢献度は打撃だけに限らない。
前向きな姿勢――。
これこそが、楽天が優勝を成し遂げられた最大のスパイスと言ってもいい。
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銀次は「チームの雰囲気が常にいいんです」と話してくれたことがあった。その理由をこう説明する。
「相手に先に点を取られても、ベンチでは誰も下を向かないんですね。それは、A.Jとマギーの加入が大きいと思います。ふたりはどんな試合展開でも、『まだいけるぞ』と声を出し続けてくれる。だから、若手も中堅もベテランも関係なく、前向きな気持ちを持続できるんだと思います」
思い起こせば今年の1月。入団会見でふたりはこう宣言していた。
「優勝するためにアンドリューとともにイーグルスに来た。だから、アメリカの野球から日本の野球にアジャストしていかなければならない」(マギー)
「個人成績は優勝のためにある。チームの勝利に少しでも貢献することが自分も目標だ」(ジョーンズ)
彼らは、自分たちの役割を認識し、それを全うしたのだ。
長打に捉われない献身的な打撃は打線に流れを作り、劣勢でも怯まない姿勢はチームに底力をもたらす。衰えを知らない攻撃は投手陣に活力を与え、エースの神業をも生む――。
幾重にも折り重なる相乗効果が楽天を優勝へと導いた。だが、その軌跡は、紛れもなく必然だった。