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松坂大輔、復帰2戦目も勝利ならず。
課題はメンタルと、投球の“間合い”。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2013/08/30 10:31

松坂大輔、復帰2戦目も勝利ならず。課題はメンタルと、投球の“間合い”。<Number Web> photograph by AFLO

2戦目でも勝利はお預けとなり、苦戦が続く松坂大輔。かつての投球内容を取り戻すことはできるのか。

 ニューヨーク・メッツに移籍した松坂大輔。今季2度目の先発登板となった8月28日のフィリーズ戦は、前回に引き続き、またしてもほろ苦いものとなった。

 4回3分の1を投げ6安打、4四球、2死球を与える乱調。自責点は4で2敗目がついた。

 前回同様、今回もストライクとボールがハッキリとした内容。4回までは再三の満塁のピンチをなんとかしのいだが、5回には満塁で押し出しのデッドボール。これが痛恨。降板時は、5回途中ながら球数はすでに110球に到達していた。

 メッツの先発陣に故障が相次ぎ、復活を期す松坂にとっては実力を証明するチャンスだったが、またしても不安を残す投球となってしまった。

 まだ2度の登板なのでサンプル数としては参考にならないが、松坂の投球内容を見ると、以前とは別人のようになっている。

 とにかく目立つようになったのが、昨季まではほとんど投げていなかったカーブが、10%ほど織り交ぜられていること。1イニングに2、3球は使っている計算になる。

トミー・ジョン手術を経て、球速が落ちた理由。

 これこそがトミー・ジョン手術を受けた松坂に見られる最大の変化である。

 初回の登板を受け、メッツのコリンズ監督は、

「たしかにストレートの球速は多少落ちたが、変化球に関してはいまでも素晴らしい」
と話していたが、カーブを短期間に使用できるまでに持ってきたことは、松坂が器用であることを示している。

 しかし、私にとって意外だったのはストレートの球速が落ちてしまったことだ。

 昨季まではシーズンを通しても90マイルを超えていたが、今季の登板を見る限り、88、89マイルが多く、勝負どころでは92マイルを投げ込んでくる程度だ。

 近年、アメリカではトミー・ジョン手術を受けた投手の球速はリハビリによって増すと考えられており、松坂の減速は私にとってショックだった。

 なにが原因なのか?

 トミー・ジョン手術を経験した投手にとって大切なのは、「メンタリティ」だと、レッドソックスの監督、ジョン・ファレルは私に話した。

「手術を受けた選手によって、復帰までのプロセスはまったく違う。実際にゲームで投げ始めると、それぞれ違う反応を見せる。トミー・ジョン手術を受けた選手に訪れる復帰後最初の試練は、メンタルの問題だ。彼らは、手術で修復した靭帯がきちんとくっついたままでいるのか、痛みは再発しないのか、本当にメジャーのバッターを打ち取れるか……。数々の不安を克服しなければならない。最後は『メンタリティ』の勝負なんだ」

 ひょっとしたら、松坂はこの戦いの途中にいるのではないかと思う。

【次ページ】 次の投球までに45秒かかる間合いの悪さ。

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