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21世紀はアンチ・ドーピングの時代?
MLBが本気で対策に乗り出した意味。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAP/AFLO
posted2013/08/03 08:01
イチローの同僚でもあり、今回の騒動で最大の“大物”、アレックス・ロドリゲス。
主力の処分を見越して、選手を補強する球団も。
今回は、禁止薬物を選手たちに提供していた「バイオ・ジェネシス」というフロリダのアンチ・エイジング・クリニックと関係があったとされる選手の処分が予定されている。
処分対象として名前が挙がっている選手には、
・ネルソン・クルーズ(レンジャーズ)
・ジョニー・ペラルタ(タイガース)
という優勝争いに関係しているチームの選手も含まれているだけに、ペナントの行方をも左右しかねない。
実際、タイガースはペラルタの処分を見越して、トレード期限ぎりぎりにレッドソックスの若手、ホセ・イグレシアスを獲得した。タイガースのドンブロウスキーGMは、
「処分が発表されたとして、どれくらいの期間に及ぶかまったく予想がつかないので、あらゆる状況に対応できるようにイグレシアスを獲得した」
と話しており、関係する球団は対策に追われるだろう。
他の競技に与える影響にも注目が集まる。
今後、メジャーリーグは、選手との契約に当たっては、「身辺調査」を重視するようになるだろう。
いうまでもなく、ドーピングと関係する人物、会社との結びつきが調べられ、疑わしい選手とは距離を置く。そして過去に陽性反応があった選手の価値も下がる。球団のイメージを損ないかねないからだ。
ドーピングと徹底抗戦するメジャーリーグの姿勢が、他の競技にどんな影響を与えていくか注目したいところだ。
このあたり、日本もしっかりして欲しいのだが、大丈夫だろうか? 統一球問題の決着も図られていない様子を見ると、不安になってしまうのだが……。