俺の方が何でオールスターに俺がいるのか聞きたいわ。

「まぁ、でも久しぶりにいろんな選手に会えたな。谷繁さんの御子息をタテに偉そうに話させて貰ったわ。全日本で一緒だった阿部は『わたりさん!?　ここで何してんすか？』って驚いてたけど、俺の方が何でオールスターに俺がいるのか聞きたいわ。それでグラウンド行けばバッティングしてた内川が走って来てさ『ご無沙汰しています！』って手袋外して握手してくれたしよ。西岡も『うぉーわたりさん！……デカいから！』って挨拶しにきたけど……俺がデカいって、嘘だろって。近くに藤浪がいたのよ。あんなもん197cmどころじゃねぇって。天井に頭付いてたからな。まだ伸びてんだろアレ。ブランコとみても比べ物にならないぐらいデカい。……とにかくデカかったわ」

――192cmのわたりさんが怯むぐらいデカいって、よっぽどですね。

「谷繁さんも帰りの車で『藤浪はこの先、めっちゃくちゃ勝てるピッチャーになるぞ』といってたな。あんなデカいのに出所が見えにくくて、手元でピュッとくる。雰囲気もあるしよ、末恐ろしいピッチャーになるよ、ありゃ。岩瀬さんも一緒にすげぇって言ってたし」

大谷は天才だってみんな言ってたよ。

――……帰りの車には岩瀬さんも乗ってたんですね。

「おぉ。岩瀬さん、行きは上野から電車で来たって言ってたからな。2000本と350セーブのバッテリー乗せて事故ったらシャレになんねぇからよ、ガチガチの法定速度順守で送り届けたよ。まぁ、その間、いろんな話も聞いたけどな」

――大谷はどうでしたか？

「あれもすげぇな。みんな天才だって言ってたよ。シーズン前には『ポスト宮出』っつったけどよ、ありゃレベルが高すぎてどっちつかずにならざるを得なくなっちまった。超一流故の贅沢な悩みだよ。高卒で3割打てるやつがどこにいる。ピッチャーで高卒で155km越え投げられるやつがどこにいるんだって。さらにインタビューの受け答えも完璧。性格的にも周囲に可愛がって貰えて、ビジュアル面でもそっちの二刀流方面な監督に『おいしそう』って言われちゃってんだから」

――投手か野手か、大谷の二刀流には様々な論争がありましたが、わたりさんはどちらがいいと思いますか。

「俺はちゃんとした嫁さんを貰った方が…」

――いや、もういいです。前半戦の総括行きましょう。

【次ページ】　1年目の前半戦なんて完全に“休み肩”の状態だろ。