Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER
<ラグビー日本代表、成長の理由> エディ・ジョーンズ 「ジャパンはさらに進化する」
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byTadashi Shirasawa
posted2013/07/18 06:01
ウェールズ戦の歴史的勝利に始まり、難敵のカナダとアメリカも撃破。
的確かつ妥協なきアプローチで、ジャパンを未踏のステージへと導いた。
指揮官が春シーズンを総括し、来たる“大一番”への展望を明かした。
的確かつ妥協なきアプローチで、ジャパンを未踏のステージへと導いた。
指揮官が春シーズンを総括し、来たる“大一番”への展望を明かした。
ひとつの勝利が歴史を変える。チームという生きものを変える。周りからの視線も、当事者たちの意識さえ劇的に変えてしまう。
2013年6月は、ラグビー日本代表にとって特別な意味を持つ時間だった。
6月15日、秩父宮ラグビー場を埋めた2万人超の大観衆の見つめる中、IRB世界ランク5位の欧州王者にして世界ラグビー最強国の一角、ウェールズから23対8で歴史的な勝利を奪った。そこから中3日、強行軍で臨んだパシフィックネーションズ杯(PNC)のカナダ戦は16対13。激しい雨が叩き付ける中でアグレッシブにボールを動かし続け、消耗戦に持ち込み、以前なら力尽きていたラスト10分に逆に突き放して接戦を制した。
さらに中3日の強行軍で臨んだアメリカ戦では、サイズで上回る相手にFWが徹底スクラム勝負を挑み、ペナルティトライを奪い、かつてはパワーだけでねじ伏せられていた天敵に完勝した。スコアは38対20。スタンドで勝者を迎えるファンの顔にも、驚きは微塵も窺えない。そこにあるのは限りない歓びと、勝利のために努力を重ねた選手たちへの深い敬意だ。
かつてオーストラリア代表を率いてW杯準優勝、南アフリカのテクニカルアドバイザーとしてW杯優勝を経験した『世界の名将』エディ・ジョーンズが日本代表のヘッドコーチに着任し「2015年W杯で世界のトップ10に入る」という目標を掲げてから1年3カ月。PNCのアメリカ戦を終え、日本の世界ランクは15位から14位へ上昇した。