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<柔道世界選手権プレビュー> ロンドン五輪への第一歩のために。 ~日本代表注目の選手たち~ 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byShino Seki

posted2010/09/08 06:00

<柔道世界選手権プレビュー> ロンドン五輪への第一歩のために。 ~日本代表注目の選手たち~<Number Web> photograph by Shino Seki

女子52kg級の中村美里(左)と男子100kg級の穴井隆将

北京五輪初戦敗退の雪辱を期す100kg超級の鈴木桂治。

 穴井は、高校時代から常に「逸材」「次代のエース」と期待を集めてきた。得意とする内股をはじめ、一本を取る技の切れは素晴らしい。女子の日本代表にも手本にする選手がいるほどだ。一方で、思わぬところで敗れることもしばしばで、メンタル面の弱さを指摘されてきた。昨年の大会でも、順調に勝ちあがりながら準々決勝で隙を見せて一本負けで銅メダルに終わった。オリンピック、世界選手権、マスターズに次ぐ位置づけのグランドスラムのパリ、リオデジャネイロ大会を制したバン・デ・ギーストをはじめ、強敵は多い。穴井自身、今春以降は2度グランドスラムに出場し優勝を逃すなど結果を残せていないが、周囲の視線を覆し、長年の期待に応えるためにも、ぜひとも初優勝を手繰り寄せたい。

 100kg超級には鈴木桂治、高橋和彦が出場する。アテネ五輪に続く連覇を狙った北京でまさかの初戦負けを喫した鈴木は、やり残した思いをぶつけるように、柔道にひたむきに取り組んできた。かつて鈴木の付き人を務めたこともある高橋は、今年、伸び悩む状況を打破しようと各地に出稽古に赴いた。それが実ったのが4月の全日本選手権初優勝であり、初めての世界選手権代表の切符であった。この階級には昨年の覇者リネールが君臨するが、苦しみを経て出場する両者ならではの気迫あふれる柔道が見たい。

 海外勢、そして日本同士の争いも予想される中、勝利を手にするのは誰か。女子にも男子にも、ロンドン五輪への試金石となる。

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