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【コンフェデ2013 出場国解説】
「2度目の停滞期」から脱出せよ!
ザックジャパンが挑む次なる課題。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAsami Enomoto
posted2013/06/10 10:30
グループAの日本は、6月15日に開催国のブラジル、19日にイタリア、22日にメキシコと対戦する。1年後に迫ったブラジルW杯に向け、真の実力が試されるとになる。
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最終回の今回は、2005年大会以来の出場となる日本代表。
漂う停滞ムードを吹き飛ばす戦いを見せてくれるのでしょうか。
6月4日のW杯アジア最終予選・オーストラリア戦。3大会連続となる世界最速での本大会出場を決めた直後のインタビューで、興奮冷めやらぬ埼玉スタジアム2002の観衆に向かって、本田圭佑が宣言した。
地域 | アジア代表 (アジアカップ2011優勝) |
出場回数 | 2大会ぶり5回目 |
監督 | アルベルト・ザッケローニ |
FIFAランキング | 30位(5月9日現在) |
「コンフェデレーションズカップ、皆さんあまり期待していないかもしれませんけど、僕は優勝するつもりでいるんで」
「優勝」の2文字を、果たして信じていいのだろうか?
そんな不安が持ち上がるのは、ザックジャパンが“2度目の停滞期”を迎えているのではないか? という点にある。劇的な展開でW杯を決めたとはいえ、ホーム、埼玉スタジアムでのオーストラリア戦はドローに終わった。5月30日のブルガリア戦、そして3月のヨルダン戦の連敗を加えると、3戦連続白星なしは現体制下で最長だ。
'11年1月に行われたアジア杯を制覇するなど、最高の船出をしたザックジャパンに訪れた1度目の停滞期は、一昨年11月の北朝鮮戦、'12年2月のウズベキスタン戦と続くW杯アジア3次予選での連敗だった。最終予選に向けて暗雲が立ち込めたかに思えたが、昨年6月にオマーンとヨルダン相手に見せた快勝劇で勢いに乗ったのだ。
あくまで先発メンバーを固定化する指揮官の意図とは。
結果が出ず苦戦した期間に共通するのは、本田の不在だった。強靭なフィジカルを生かした類稀なキープ力は、香川をはじめとした敏捷性に優れるアタッカー陣を生かす。背番号4のプレーはバルセロナのメッシと同じく、チームに不可欠な存在を超えて“依存”に近づきつつあるのかもしれない。
そんな中で、ザッケローニ監督が、本田をはじめとして先発メンバーを固めているのは周知の通り。コンフェデ杯の登録メンバー23人の中には工藤壮人、東慶悟といった新顔の名前はなかった。指揮官はこの3年間で連係を密にした選手たちとの現状打破を選んだということだろう。
開催国との“完全アウェー”の対決で停滞ムードを吹き飛ばせるか!?
振り返れば、日本代表はコンフェデ杯で印象的なシーンを過去何度も刻みつけている。
'05年大会、ジーコ監督の母国・ブラジルとの撃ち合い。そして鮮やかなパスワークから加地亮が奪った“幻のゴール”。
'03年大会、フランスのGKバルテズの頭上を射抜いた、中村俊輔の直接FK。
そして何よりも、日韓で共催した'01年大会の準優勝という快挙と、準決勝オーストラリア戦、中田英寿が豪雨の中でたたき込んだグラウンダーのFK――。
はたしてザックジャパンは新たな“伝説”を作りだすことができるのか。6月15日に戦う初戦の相手は、昨年10月、内容で伍しながらも0-4の大敗を喫したブラジル。今後の課題を「インターナショナルレベル、特にアウェーでの経験を増やすこと」と語る指揮官のもと、開催国との“完全アウェー”の対決で停滞ムードを吹き飛ばすミッションに挑む。