野球クロスロードBACK NUMBER
昨季の角中と同じ道を歩めるか?
ロッテ・鈴木大地、ブレークの兆し。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/04/30 12:40
兄姉ふたりの名前も「辰徳(原辰徳監督から)」「有香(フィギュアスケートの佐藤有香から)」という、スポーツ好きな一家で生まれた鈴木。目標は「もっと活躍して本人(水泳の鈴木大地)と会うこと」とのこと。
オープン戦から成果が出ていた打撃フォームの修正。
最大のポイントはタイミングのとり方。
鈴木大地の打撃フォームは、右足をゆったりと上げ、自分の間合いを作っているように見える。しかし、その一連の動作において彼は「速さ」を意識した。
その意義について鈴木大地はこう解説する。
「立花(義家)さん、堀(幸一)さん(ともに今季からロッテの一軍打撃コーチを務める)から『タイミングを速くとれ』と言われて意識するようになりました。今までは、足を速く上げることがタイミングをとることだと思っていたんですけど、そうではなくて。ピッチャーのモーションにタイミングを合わせるためには、足を上げてから地面に着地するまでの一連の動きを速くすることだと、オープン戦の時から教わったんです」
立花、堀両打撃コーチとのフォーム修正の成果は早くも現れた。
オープン戦では33打数12安打、3割6分4厘と結果を残した。シーズン開幕当初はベンチスタートの日が続いていたが、4月20日にプロ野球記録まであと1試合に迫る3試合連続三塁打を記録し、25日の西武戦ではプロ初本塁打を放つなど、瞬く間にスタメンの座を掴んだ。
それでも、鈴木大地に慢心はない。
「フォームに関しては、今ではしっくりきていますけど大事なところで打てていない試合もあるんで。もちろん、全打席でヒットは打ちたいですよ。でも、それは無理な話なんで、フォアボールもしっかりと選べるようにはしたいです。別に積極的に狙うというわけではないですけど、打席では嫌らしく、嫌らしく粘っていきたいですね」
セカンド、サード、ショートと、どのポジションでも光る守備。
高打率を記録しているところから打撃に脚光が集まりがちではあるが、鈴木大地がスタメンに定着できた背景のひとつとして守備も欠かすことはできない。
本来のポジションはショート。それでも、出場機会を増やすために1年目からセカンドとサードにも挑戦し、一軍の座を確固たるものとした。
自身は、「僕みたいな選手はどこでもできて当たり前にならないといけません」と言う。
練習では3ポジションでノックを受ける。ベンチスタートの日はいつでも出られるようにと、試合前から走り込みや体幹運動を入念に行うなど、鈴木大地はいかなる時でも準備を怠らない。
だからこそ、どのポジションを任されても臆することなくプレーできる。