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<日本一の兄弟競輪レーサー> 村上義弘&村上博幸 「魂の轍」
text by
後藤正治Masaharu Goto
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/04/15 06:00
兄・村上義弘(左)と弟・博幸。
日本一の兄弟がいる。観る者の心を揺さぶる渾身の捲りで 昨年暮れの大一番グランプリを制し、初の賞金王に輝いた兄・義弘は、今春、2度目の日本選手権優勝を成し遂げた。
弟・博幸は2010年、切れ味鋭い追い込みで、兄よりも早く ダービー王とGPレーサーの称号を掴み、頂点を味わった。
競輪道を真摯に歩む二人の人生の光芒が放つ、熱き魂の物語。
弟・博幸は2010年、切れ味鋭い追い込みで、兄よりも早く ダービー王とGPレーサーの称号を掴み、頂点を味わった。
競輪道を真摯に歩む二人の人生の光芒が放つ、熱き魂の物語。
競輪界最大のレース、「KEIRINグランプリ2012」は12月30日、調布・京王閣競輪場で行なわれた。1着賞金1億円。勝者は年間の賞金王となり、2013年、ナンバーワン選手を意味する白いユニフォームの1番車を背負って走り続ける。
映像が残っている。レース前、夜間照明が満員の場内を照らし、大粒の強い雨がバンクを打っている。大一番の勝負のとき――。緊迫した気配が伝わってくる。
各スポーツ紙の予想欄。二重丸は武田豊樹、成田和也、長塚智広……と散らばっている。京都の村上義弘は4番車。38歳。無印なのは、練習時に肋骨を骨折したというニュース等が伝わっていたからであろう。もとより最高クラスS級S班の一人、実績とキャリアは十分であった。
選手にとって、走路が滑る雨は嫌なものだろう。ただ、村上は雨を苦にしないという評もある。
「ああ降ってるな、と思うだけで気にはしないですね。周りが雨を嫌がるなら自分がそれだけ有利とも思う。それに、実はあんなに激しい雨が降っていたんだとわかったのはビデオでレースを見返したときなんです。それほどレースに向って集中していた」