WBC 侍ジャパンの道BACK NUMBER
侍ジャパン投手陣が苦悩するマウンド。
早めの継投で、3連覇をもぎ取れ!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2013/03/16 06:00
2次ラウンドでの台湾戦。アメリカのグラウンドキーパーを招いて作ったいつもより硬いマウンドを、試合前から気にしていた能見。
日本の投手陣を密かに悩ませている、マウンドの日米差。
「何が原因かは分からない。様々な要素がからみあってのことだと思います」
台湾戦のアクシデントの理由を聞かれた与田剛投手コーチはこう語ったが、原因の一つとして上がっているのが、実はマウンドの固さだった。
MLB仕切りで行われるWBCは、球場やボールなどのレギュレーションはすべてメジャー仕様で行なわれている。その中で度々、話題として取り上げられてきたのが、滑ると言われるメジャー球だったが、もう一つ、アメリカ仕様で投手陣を悩ませているのが、このマウンド問題なのである。
高くて傾斜が急で、しかも固い。
「日本のマウンドの場合はステップした部分の土が掘れるので、“止まって→流れる”という動きが出来る。でもメジャーのマウンドは土が粘土質で固めてあるためにスパイクの爪がかかりにくい。そのため“流れて→流れ”たり、逆にそれを意識すると“止まって→止まる”という動きになってしまうんですね」
与田コーチの説明だ。
そのため各投手はスパイクの歯を工夫したり、ステップ幅を変えるなどの対応をしているのだが、それがまた踏み出した足にいつもとは違う負荷をかけることにもなってしまっているようだ。
能見の場合は、宮崎の合宿からボールに関してはスムースに対応できたが、このマウンドへの適応に神経を注いでいたという経緯もあった。
球場によってマウンドの作りがバラバラという問題。
しかもこのマウンド問題は、やっかいなことがもう一つあるのだ。
それはメジャー仕様といっても、球場によって作りが微妙に違っているという点だった。
予選ラウンドを行なったヤフオクドーム、東京ドームも、わざわざアメリカからグラウンドキーパーが来日して、マウンドを作り替えていたが、それぞれで高さや固さが微妙に違ったというのだ。
14日(日本時間15日)に日本代表がサンフランシスコ・ジャイアンツと強化試合を行ったスコッツデールスタジアムもそうだった。
この球場はキャンプを張るジャイアンツの本拠地で、今大会の決勝ラウンドの舞台となるAT&Tパークのマウンドと同じ高さ、傾斜で作られているという。