WBC 侍ジャパンの道BACK NUMBER
侍ジャパン投手陣が苦悩するマウンド。
早めの継投で、3連覇をもぎ取れ!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2013/03/16 06:00
2次ラウンドでの台湾戦。アメリカのグラウンドキーパーを招いて作ったいつもより硬いマウンドを、試合前から気にしていた能見。
2次ラウンドを突破してアメリカに乗り込んだ侍ジャパンは、アリゾナ州フェニックスで時差ぼけ解消などを目的とした調整と練習試合で本番に備えている。
12日のオランダ戦後にチャーター機で渡米したナインは現地時間の12日夜にフェニックスに到着。翌13日はサンフランシスコ・ジャイアンツのキャンプ地となるスコッツデールスタジアムで練習を行なった。
「時差ぼけがヒドい。けさは5時半から外に出ていたよ。ここからは一番大事なのがコンディショニングだと思うし、しっかりと汗をかいて、夜はぐっすり寝て体調を整えていきたい」
こう話したのはキャプテンの阿部慎之助だ。
長旅の疲れも抜けず、時差ぼけで早朝に目が覚めてしまったようだが、それでも強い日差しの下でしっかりと汗をかいて体内時計の再調整に余念がなかった。
米国入りした能見が、ずっと気にし続けていたこととは。
ほとんどの選手がコンディショニングを優先した軽い練習で終わったアリゾナ初日に、異例の調整を行なったのは能見篤史だった。
「屋外でしばらく投げていなかったので、投げてみたかった」
こう語ると志願でブルペンに入り50球の投げ込みを行ったのだ。
宮崎の合宿から投手陣の中でも抜群の仕上がりを見せていた。他の投手たちが苦労しているメジャー球への対応も、比較的スムースにいって、強化試合でも結果を残した。
その点を首脳陣が高く評価。2次ラウンドでは、日本の切り札として大事な初戦の台湾戦先発を任された。
しかし、結果的には3回に急激に制球を乱して二塁打と2つの四死球で2死満塁のピンチを招くと、まさかの押し出し四球で先制点を献上してマウンドを降りた。
実はこの試合で能見は、右足をつるというアクシデントに見舞われていたのだった。
そのためこの台湾戦後は、しばらくマウンドから遠ざかっていた。そして足の回復を待って、アリゾナ入りするとすぐさまブルペンに入ったというわけだ。