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フェラーリとマクラーレンが逆襲!?
今季F1界のテーマは「革新vs.保守」。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2013/03/10 08:01
フェラーリの新型マシンF138をテストしたアロンソは「そこそこ満足している」とコメント。
保守派が勢力を伸ばすのか、あるいは改革派が形勢を逆転するのか――2013年のF1の注目点をひとつだけ挙げるとすれば、それに尽きる。
ウインターシーズンを終えたF1は、開幕戦へ向けて、最後の仕上げを行っている段階である。最終合同テストとなったスペイン・バルセロナでは、初日にレッドブル、2日目にロータス、3日目と4日目はメルセデスAMGがそれぞれトップタイムを叩き出した。
かつてシーズン中にテストが実施できたときは、ウインターテストはその時期に用意されたマシンの速さをいかに引き出すかが重要だった。つまり、テストではどのチームもマシンのポテンシャルを100%出していたため、トップタイムを比較することで、チーム間の力関係をある程度は読むことができた。
ところがシーズン中のテストが制限されるようになった近年のウインターテストでは、シーズン中の開発を見越してさまざまなデータ取りを行っているため、トップタイムだけでチームの実力を計ることができなくなった。そのため、最後のテストでトップタイムを連発したメルセデスAMGの速さが本物なのかは、蓋を開けてみなければわからない。
革新的なマシンで今季に臨む、フェラーリとマクラーレン。
メルセデスAMGだけではない。最後のバルセロナでトップタイムをマークしたからといって、レッドブルやロータスが万全かというと必ずしもそうとは言えない。なぜなら、今シーズンのライバル勢の中に、マシンのコンセプトを大きく変更してきたチームがあるからだ。その代表がフェラーリとマクラーレンである。
フェラーリとマクラーレンの実力を侮ってはいけない理由は、彼らがいずれも経験豊富なトップチームだからではない。発表された新車を見る限り、それまでの成功経験を引きずることなく、今年の新車にまったく新しい遺伝子が組み込まれているからだ。
勝つことが至上命令であるこの2チームにとって、コンストラクターズ選手権2位や3位という成績は、敗北でしかない。