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W杯ベタ押しの
ワイドショーがうるさいぞ。 

text by

小田嶋隆

小田嶋隆Takashi Odajima

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2010/07/02 06:00

W杯ベタ押しのワイドショーがうるさいぞ。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

カメルーン戦終了直後、深夜の渋谷センター街の風景。2002年の日韓W杯時に比べれば、盛り上がりは大人しかったが……。それにしても、ワイドショーはなぜいつもこの場所を映すのだろうか。

 今回のW杯は盛り上がりに欠けると言われていた。前評判もさんざんだった。良くて3連敗、悪くすると3惨敗、と、うん、そう言っていたのはオレだ。すまない。選手諸君にはこの場を借りて赤心から謝罪したい。岡ちゃんにも。

 さてしかしいざ開幕してみると世間はW杯ベタ押しだ。ワイドショーはまるでベスト4決定後みたいな空気だ。そう。出勤している皆さんはご存知ないだろうが、朝昼のテレビはモロな戦時体制なのだよ。朝昼のテレビも“朝日る”の新聞も。朝日は黄色。夕日は赤。テレビの画面はサムライブルー。信号機みたいだ。

笠井アナの「得もり」もサッカーコーナー化。

 たとえば、フジテレビが放送している朝の情報番組「とくダネ!」は、開幕以来、ほとんどサッカー番組そのまんまのタイムテーブルを押し通している。

 めでたい、と?

 私はそうは思わない。むしろ、この時間帯のテレビがサッカーだらけである事態に、うしろめたい気持ちをいだいている。サッカー関係者を代表して世間の皆様に謝りたい気持ちだ。お騒がせして申し訳ない。いま少しのご辛抱です、と。

 なのに、小倉さんは今朝もデンマーク攻略法を語る。得々と。上から。

 笠井アナが担当する「得もり」の時間も雪崩式なし崩し的にサッカーコーナー化している。見ると、笠井はいつ着替えたのか代表ユニ姿だ。もう一人の若いアナ(名前失念)は、スタジオにブブゼラを持ち込んでいる。ブーブー。うるさい。彼らは自分たちがブブゼラだということに気づいていないのだろうか。応援していながらも、結果としてはサッカーへの集中を乱している存在。ノイズメーカー。雑音。キミらは非常にうるさいぞ。

サッカー番組がはしゃぐのは仕方がない。でも……。

 サッカー番組がはしゃぐのは仕方がない。なにしろ四年に一度だ。ここでプレスをかけられないようでは得点は望めない。だから勘弁してあげることにする。

 でも、芸能リポーターや経済評論家や、新聞社の解説委員だとかがはしゃぐのは、筋違いではないのか? あるいは勘違いお門違い畑違いではないのか?

 夕方のワイドショーもひどい。

 タイアップ臭横溢のミス・ワールドご一行美女サポーターを連日紹介するかと思えば、お決まりのイケメン選手特集を恥ずかしげもなくリピートしている。デルピさまとかベッカムさまと言っている情報の古さもさることながら、感覚自体がどうしようもなく古い。スタジオに用意された等身大パネルを前に女子アナが大仰に嬌声をあげてみせる演出は、ありゃ何なんだ? 昭和の歌謡番組か?

 で、コーナーのシメにはなぜか必ず渋谷のバカサポ映像。もしかして、キミらはサッカーに悪意を持っているのか? それでああいう風儀の悪い連中ばかりを映して印象操作をしているのではないのか? いや、邪推なら良いのだが。

【次ページ】 限りなく透明に近いサムライブルー。

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