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JFLの遅咲き大物FWがJへ移籍!!
実例で考える“J3構想”の可能性。 

text by

細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/01/16 12:10

JFLの遅咲き大物FWがJへ移籍!!実例で考える“J3構想”の可能性。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

関東リーグ1部だったY.S.C.C.でプレーしJFL昇格の原動力となった辻正男(写真右端。コンサドーレでの練習参加風景)。彼のようなステップアッパーの存在が下部リーグを活性化する。

 昨年11月、初めて「J3構想」という言葉を耳にした時はいま一つその真意を測りかねたが、今は少し、それをポジティブに解釈することができている。きっかけはある選手のJリーグ入りと、彼が発した言葉だった。

 1月14日、J2ガイナーレ鳥取は2人のストライカーの獲得を発表した。

 1人は、J1ヴァンフォーレ甲府から移籍する永里源気。言わずと知れた“なでしこ”大儀見優季の実兄であり、アビスパ福岡に在籍した2010年にはJ2で15得点を記録した点取り屋である。

 そしてもう1人は、JFLのY.S.C.C.から加入する辻正男。彼もまたストライカーだが、永里とは対照的にJリーグでのキャリアはない。25歳にしてプロの世界に飛び込む彼はまだ無名のFWに過ぎないが、しかし近年のJFL事情、あるいはその下のカテゴリーである地域リーグ事情に詳しい人にとっては、メジャーな存在であることは間違いない。

史上初、3つの個人タイトルを獲得した遅咲きの大物FW・辻。

 神奈川県に生まれた辻は、法政二高を経て法政大学に入学。しかし4年時に負った膝の故障で、一度は念願のJリーグ入りを断念せざるを得なかった。それでも、卒業後の2009年に当時関東リーグ1部に在籍していた神奈川県内の強豪・Y.S.C.C.に加入すると、絶対的なエースとして4シーズンにわたって活躍。時にはスーパーや青果店で働くフリーターとして、あるいは外資系証券会社に勤務するビジネスマンとして仕事とサッカーを両立し、アマチュアのキャリアを積み重ねてきた。過去に何度もJFL昇格の壁に阻まれてきたY.S.C.C.にとって、エースとしてゴールを量産し続ける辻はまさに悲願達成の原動力だった。

 それだけではない。辻は昨季、JFLで“史上初”となる快挙を達成した。

 リーグトップタイの20得点で得点王、25歳にして新人王、さらにベストイレブンと3つの個人賞を手にしたのである。

【次ページ】 国内リーグの実質“4部”から這い上がった不屈の男。

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