スポーツはカタチから入る方なんですBACK NUMBER
頭脳を持ったスパイクがサッカー選手をサポート&パフォーマンスをアップ!
text by
奥山泰広&高成浩Yasuhiro Okuyama & Seikoh Coe(POW-DER)
photograph byNanae Suzuki
posted2012/12/22 08:01
プレイヤーの動きを1秒ごとに記録・管理する。
奥山 へえ~、これがゲーム中やトレーニング中の選手の動きをつぶさに記憶し、そのデータをパソコンなどで客観的に把握できるサッカー用パーソナルトレーナーですか。思っていたより、小さくて軽いんですね。どうやって使うんですか?
高 まずはマイコーチの専用ウェブサイト「micoach.com」にメールアドレスやパスワード、生年月日などを登録するんだ。するとこのサイトからメールが届くので、プロフィールに身長や体重などを記入。で、パソコン用の管理アプリ「miCoach Manager」をインストールすればもう完了だ。後はスパイクの内側にmiCoach SPEED_CELL(センサー部分)を挿入して、練習を始めればOK。
奥山 その前にこの小さなUSBで、自分のパソコンとmiCoach SPEED_CELLをペアリング(同期)しなきゃ! スパイクは左足ですね(ゴソゴソとインソールを外す)……ちゃんとSPEED_CELLのマークが付いてますね。おっ、プルタブをめくると専用のポケットがあるんだな。
高 そうそう、そこにきちっとハメ込めばプレーの妨げにならないし、激しい動きでもSPEED_CELLが壊れる心配もないってワケ。
奥山 ふ~ん、トータルなトレーニング時間&走行距離は既存の多機能スポーツウォッチでも計測できますが、このSPEED_CELLはサッカーに必要不可欠なスプリントの回数とそのときの最高速スピードがわかるんですね。また、選手の全方向の動きも記録してくれるんですね。
高 自分のトレーニングデータをパソコンに取り込み、さっきの「micoach.com」で表示・管理することができ、チームメイトはもちろん、世界中のプレイヤーとも比較することができるんだよ。なんなら、憧れのメッシと自分のパフォーマンスを比較できるんだぜ。
個人のスキルアップとチーム力アップに貢献。
奥山 サッカー選手にとって本当に必要なデータとは、単にストップウォッチで計った短距離&長距離タイムではありません。どれだけのトップスピードを出せるか、そのスプリント力を試合中にどれだけ維持できるか……が大切なんです。そうした“サッカー選手が本当に知りたいデータ”を、SPEED_CELLは簡単に教えてくれるんですね。
高 そのうえ「あれ、俺ったら30分過ぎると、ガクッとスピードが落ちるな」とか、「自分は瞬間的なスピードは出るけど、長い距離は苦手なんだな」とかって分析できるんだよ。
奥山 Jリーグのトップチームならば定点観測で選手の動きを録画するなどして、そういう走行分析ができるでしょう。が、それって莫大な費用と手間がかかります。でも、SPEED_CELLを使えば、アマチュアレベルでも簡単に選手のパフォーマンスを管理できちゃうんですね。
高 プレー中、選手は「んっ、なんだか身体が軽いな」とか、「おっ、今日は簡単にディフェンダーを抜けたぞ」と感じている筈。それって単なる思い込みかもしれないし、ともすれば「やべぇ、また抜かれちまった。相手が上手過ぎるんだな」と、ミスや不調を責任転嫁しているかもしれない。これからはSPEED_CELLがすべてを数値で表示してくれるのだから、選手はまったく言い訳ができなくなるね。実際、FC東京の石川直宏選手は年間を通じて試合でSPEED_CELLを着用してデータ収集を行っているんですよ。
奥山 スピードセルは個人だけでなく、コーチや監督が上手に活用すれば、チーム全体のレベルアップができるんですね。