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ドルトムントの3連覇に早くも黄信号。
香川依存からの脱却は成功するか?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2012/09/14 10:30
クロップ監督と香川の後継として期待されているマルコ・ロイス。香川と同い年の23歳は、ドイツ代表としてもプレーしている。
昨季はリーグ2連覇と、クラブ史上はじめての国内リーグと国内カップ戦の2冠を達成したドルトムント。今季開幕では、マンチェスター・ユナイテッドに移籍した香川真司の穴を、いかにして埋めるのかに注目が集まっていた。
開幕から2試合を戦って、1勝1分け。開幕戦となったブレーメンとの試合ではクロップ監督が「引き分けに終わってもおかしくなかった」と語ったほどの辛勝だったし、第2節のニュルンベルク戦ではボールを支配しながらも1-1で引き分けて、「我々は勝たなければいけなかった。ナーバスになるよ」とキャプテンのケールも肩を落とした。
ライバルとなるバイエルンは、センターバックにダンテ、ボランチにマルティネスを獲得。昨季までやや心もとないレベルにあったポジションの底上げを図った上に、同じく新加入のクロアチア代表FWマンジュキッチがゴールはもちろんのこと、前線で動き回ってチームのチャンスメイクをして、攻撃を活性化させている。それゆえに、ドルトムントの3連覇を疑うような意見が早くも聞こえはじめている。
ボールを奪っても、誰に預ければよいのか見えてこない。
新加入のドイツ代表ロイスは開幕戦でいきなりゴールを決めるなど、その高い得点能力を早くも見せているものの、ゴールシーン以外での貢献度はまだ低いまま。さらに、今季から10番を背負うことになったゲッツェが開幕前に目の病気などで出遅れたため、ロイスとゲッツェのコンビネーションも、いまだに発展途上だ。
現時点で思うような戦いがみせられていないのは、相手からボールを奪った際に、誰にボールを預ければよいのかが見えてこないこと。
昨季、香川はチーム2位のゴール数と、チームトップのアシスト数を記録するなど、攻撃の中心となっていた。香川本人も「まずは自分を見てくれるようになった」と話していたが、マイボールになればまずは日本人MFにボールを出せばいいというチームとしての共通認識があったのだ。ところが、いまはそれがないのだ。