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<初のメダルをもたらした戦略> 福原愛/石川佳純/平野早矢香 「卓球女子、未来への涙」 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byAsami Enomoto/JMPA

posted2012/08/22 06:01

<初のメダルをもたらした戦略> 福原愛/石川佳純/平野早矢香 「卓球女子、未来への涙」<Number Web> photograph by Asami Enomoto/JMPA
北京五輪後から、この瞬間のために全てを捧げ、努力した。
“天才少女”として幼い頃から卓球界を背負ってきた福原。
若き万能プレーヤー、石川。弛まぬ鍛錬と信念の人、平野。
固く結束した“三本の矢”は、世界の強敵を次々と打ち破り、
悲願成就の涙を輝かせた。

 女子団体準決勝。シンガポール戦でダブルスを組んだ石川佳純と平野早矢香がストレートで勝利すると、ふたりはきつく、きつくパートナーを抱きしめた。涙があふれて、止まらない。いつまでも、いつまでも。

 決勝進出。この勝利で日本卓球史上、オリンピックで初めてのメダルが確定した。戦況を見守っていた福原愛は両手で顔を覆い、ベンチに戻ってきた石川、平野と抱き合って、「ありがとう、ありがとう」と声を震わせた。

 彼女たちが4年間、ロンドンに向けて懸命に努力してきた使命が完遂した「ミッション・コンプリート」の瞬間だった。

 はじまりは4年前まで遡る。北京オリンピックの団体戦、日本は3位決定戦で韓国にストレート負けを喫した。当時、19歳の福原、23歳だった平野は「もう少し頑張っていれば、メダルが取れたよね」と実感したという。オリンピックに向けて、綿密に準備を重ねれば、団体戦ならメダルは手の届くところにあると気づいたのだ。

 そこからロンドンに向けての強化がスタートする。要となるのは、チームランキングを上げて、首位の中国とトーナメントで同じブロックに入るのを避けることである。ランキング4位では準決勝で中国と対戦することになるので、最低で3位、出来れば2位でオリンピックに臨むのが日本の至上命題だった。

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