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主力続々離脱のロッテを救えるか?
5年目の苦労人・阿部和成の奮闘。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2012/08/14 10:30
千葉ロッテの背番号「60」阿部和成は、2008年、大牟田高からドラフト4位で入団。5年目を迎えた今季、同期入団の唐川侑己をはじめ主力の離脱が相次ぐ中、正念場を迎えている。
ひとりのバッターを抑えるごとに大きく息を吐いた。1イニングを抑えマウンドを降りる度に声をあげて自分に活を入れた。
8月1日のQVCマリンフィールド。
前日、北海道日本ハムに首位を明け渡した千葉ロッテは、昨年10月4日以来、約10カ月ぶりの一軍登板となる5年目23歳の阿部和成に先発のマウンドを託した。今季初めてのマウンド、阿部は気持ちの入った投球を続けていた――。
オールスター前にロッテを襲った、相次ぐ主力の離脱。
少し前のことになるが、オールスターゲームを目前に控えた7月中旬、千葉ロッテを激震が襲った。
それまで8勝をあげてハーラートップを走っていた唐川侑己が、右肘の張りを訴えて今季2度目の戦線離脱。今春に4勝をあげて旋風を捲き起こしていたルーキーの藤岡貴裕も、6月に入ってから4連敗と元気がなく二軍に降格するなど首位独走から一転して窮地に立たされた。
さらに右肘の違和感を訴えて戦列を離れたペン、7月に入り2試合連続KOで再調整を言い渡された渡辺俊介と、開幕時に先発ローテーションを任された6人中4人の投手が一軍ベンチから外れる緊急事態。
そこで西村監督はオールスターゲームが行われている最中の7月22日に、今季二軍で調整を続けていた阿部和成、大嶺祐太、山室公志郎、橋本健太郎、植松優友、南昌輝らに招集をかけて昇格テストを行った。唐川、藤岡らの代役を見つけようというのだ。その中から今回、白羽の矢が立ったのが阿部、南の2人だった。
「今年こそ」の気持ちをぶつけた8月1日の初登板。
昨秋の一軍昇格では、3試合を投げて防御率12点台に終わった阿部。プロ4年目にして初の一軍昇格だったが西村監督からは「まだ一軍で投げられるレベルじゃない」と酷評されて再び二軍降格を言い渡された。さらに今春のキャンプでも藤岡、中後悠平、益田直也ら同級生のルーキーが一軍の石垣島キャンプに呼び寄せられた中、自身は二軍の薩摩川内へ。今年こその気持ちで自主トレから臨んでいただけに精神的にも厳しいスタートとなった。
しかし、冒頭の、今季初登板となった日本ハム戦では、そうした気持ちの全てをマウンドでぶつけるような投球を見せた。先発で5回を4安打無失点に抑える好投。直球は130キロ台と派手さこそないが、彼の持ち味である制球力と球持ちの良さで相手打者を詰まらせ、凡打の山を築いた。
さらに1週間後の8月8日の埼玉西武戦は圧巻だった。