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松坂&新垣が切り拓いた道――。
夏の甲子園、要注目の剛腕投手たち。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/08/09 06:01

松坂&新垣が切り拓いた道――。夏の甲子園、要注目の剛腕投手たち。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

今春のセンバツでは緩急とコントロールを重視する投球を見せた、愛工大名電の左腕エース・濱田達郎。最後の夏はスピードも加え、春のベスト8以上を狙う。

高校生史上初の160キロ投手となった花巻東の大谷翔平。

 今年を象徴する速球投手といえば、大谷翔平(花巻東)の名前が挙げられる。

 岩手大会準決勝、一関学院戦で大谷は高校生として史上初めて160キロを記録し、大きな話題になった。

 スピードガンの誤作動だったのではないか、と言う人間もいるが、その前には159キロを計測し、156、7キロも頻繁に計測しているので、出るべくして出た記録と言っていい。ちなみに、2死二、三塁の場面だったので、投球フォームはスピードが出づらいセットポジション。そして、そのボールは3ボール2ストライクからの左打者への内角膝元を突く、ストライクコースだった。

 下半身がまず打者に向かってグーンと伸び、少し遅れて上体がついていくという理想的なフォームで投げる高校生などめったに出現するものではない。大谷を擁する花巻東は残念ながら岩手大会の決勝戦で盛岡大付に3対5で敗れ、惜しくも今大会への出場を逃したが、大谷は昨年夏、今年春と2季連続で甲子園大会に出場して、状態が完璧でないにもかかわらず強烈なインパクトを残してきた。当然、松坂のときと同様、同世代(1~3年生)は大谷を目標に、今大会を戦っていくだろう。

藤浪晋太郎、濱田達郎ら、超高校級投手の快速球に注目。

 大谷に最も近い位置にいるのはともに“ビッグ3”と並び称されている藤浪晋太郎(大阪桐蔭)と濱田達郎(愛工大名電)である。

 藤浪は今年春の選抜大会で大谷と対戦し、大谷が8回途中で降板するのを尻目に9回を2失点に抑え、完投している。このときはともに150キロを記録して、変化球の精度では逆に大谷を上回っていた。花巻東を撃破したのちも強豪の九州学院、浦和学院、健大高崎、光星学院を破り、初の選抜優勝を飾っているのは周知の通り。

 濱田は選抜大会では140キロを超えることがなく、技巧派へモデルチェンジしたのかと思ったが、愛知大会では140キロ台中盤超えをたびたび計測して復調をアピールした。

 元来、力の配分ができる投手で、横変化のスライダーにカーブを交えた緩急で打者を翻弄する技術は超高校級と評価されてきた。夏はこれにスピードが加わり、よりハイレベルな緩急で打者と対することができる。私たちはこれまで見られなかった“本当の濱田”のピッチングに接することができるかもしれない。

 2人以外では松井裕樹(桐光学園)、黄本創星(木更津総合)、竹内諒(松阪)、柿澤貴裕(神村学園)、照屋光(浦添商)に期待したい。松井は王者・横浜打線を翻弄した縦変化のスライダーが光り、黄本、竹内はバランスの取れた投球スタイルと変化球全般のキレ、さらに柿澤と照屋は150キロ前後の快速球を誇る本格派である。

 これらの投手に今大会を代表する強打者である、田村龍弘(光星学院・捕手)、北條史也(光星学院・遊撃手)、高橋大樹(龍谷大平安・外野手)、田端良基(大阪桐蔭・一塁手)、森友哉(大阪桐蔭2年・捕手)たちがどう挑んでいくのか、注目したい。

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