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松坂&新垣が切り拓いた道――。
夏の甲子園、要注目の剛腕投手たち。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2012/08/09 06:01

松坂&新垣が切り拓いた道――。夏の甲子園、要注目の剛腕投手たち。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

今春のセンバツでは緩急とコントロールを重視する投球を見せた、愛工大名電の左腕エース・濱田達郎。最後の夏はスピードも加え、春のベスト8以上を狙う。

松坂大輔が高校生速球派投手へのプロの評価を変えた。

 いつから高校生はこれほど球が速くなったのか。'98年の松坂&新垣がスピードの魅力を再認識させ、'01年の寺原隼人(日南学園→ダイエー/ソフトバンク→横浜→オリックス)が一気に加速させたと私は思っている。'98年は松坂こそいたが、140キロ超えは7人しかいなかった。しかし、3年後の'01年には13人に増え、その内容も寺原の155キロを筆頭に145キロ超えが3人もいた。

 それまで人気、実力とも沈滞傾向にあった高校野球を一気に盛り上げたのは間違いなく松坂である。私は松坂以前からスカウトの方たちと話をする機会があったが、よく聞いたのは「最近の高校生はスピードがない」という言葉だった。それを証明するように松坂以前にプロ入りした投手の一軍定着は遅かった。

 しかし、松坂が西武1年目、16勝5敗という素晴らしい成績で新人王、最多勝、ゴールデングラブ賞に輝き、さらに3年目には沢村賞も獲得するとプロの高校生を見る目が変わった。そして、自信喪失状態にあった高校生は自信を取り戻した。

 それ以降、寺原('01年)、ダルビッシュ有('04年・東北→日本ハム→レンジャーズ)、田中将大('06年・駒大苫小牧→楽天)と、短い間隔で時代を象徴する超高校級が登場し、彼らはプロの世界で早いうちから着実に実績を積んで、高校野球の魅力を日本はおろかMLB(アメリカ)にも知らしめた。

プロ1年目から活躍した松坂が、同世代の開拓者に。

「松坂世代」に焦点を絞って話をすると、私はこれまで藤川球児(阪神)、東出輝裕(広島)、寺本四郎(元ロッテ)、森本稀哲(DeNA)、村田修一、久保裕也(ともに巨人)、館山昌平、小野寺力(ともにヤクルト)たち「松坂世代」を取材した。そして、この中の誰もが「松坂世代」であることを嫌がらなかった。というより、「松坂世代」を誇らしげに語っていた。

 それは松坂がプロ1年目から活躍し、同世代の誰よりも早くメジャーリーグに足を踏み入れ、1年目から15勝12敗という好成績を挙げたからに他ならない。

 松坂は、後から続く同世代の灯台であり道しるべなのである。

【次ページ】 高校生史上初の160キロ投手となった花巻東の大谷翔平。

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