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ラルーサを球宴の監督に。
辣腕コミッショナーの決断。
~際立つバド・セリグの統率力~
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byYukihito Taguchi
posted2012/02/21 06:00
昨年、カージナルスをWシリーズ優勝に導いたラルーサと、トロフィーを渡すセリグ(右)
昨季、カージナルスを世界一に導きながらその直後、突然の勇退を発表したトニー・ラルーサが、ミズーリ州カンザスシティで行なわれる2012年オールスターでナ・リーグの指揮を執ることが決まった。過去、前年にリーグ制覇を遂げた監督が翌年、異なるチームに所属して球宴監督を務めたことはあったが、引退した後の「一般人」となると79年ぶりのこと。そこには、コミッショナーのバド・セリグの強い意志があった。
ラルーサといえば、ホワイトソックス、アスレチックス、カージナルスで計33年間にわたって監督を務め、その間、3回の世界一に輝いた名将。近年流行するセイバーメトリクスなどのデータ分析野球とは一線を画し、自らの着眼点と感覚を重視する“オールド・スクール”の野球を貫き続け、常に優勝争いを繰り広げてきた。そんなラルーサの長年の功績に対し、セリグが最高の晴れ舞台を用意したのだ。