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2・26UFC日本大会は凱旋となるか?
秋山成勲、日本でのラストチャンス!
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2012/02/14 10:30
2009年7月にUFC初参戦を果たし、成績はこれまで1勝3敗。しかしながら、そのファイトスタイルが欧米で支持され、ファイト・オブ・ザ・ナイトを初戦から3回連続で受賞している。写真は2009年に行なわれたUFC100、アラン・ベルチャー戦のもの
日本とは異なるUFCファイターとしての世界的評価。
だがUFCでの秋山は、そのイメージをガラリと変えている。新参者のいち選手として主催者が用意した相手との試合を素直に受け、闘いぶりは常に真っ向勝負。その結果、デビューから3戦連続でベストバウト賞(Fight of the Night)を受賞している。
UFCでの戦績は1勝3敗。つまり秋山は、苦しい試合の中での奮闘が評価されて“ベストバウト男”になったということだ。今回は体格面での不利を考慮し、ミドル級(83.9kg)からウェルター級(77.1kg)に階級を下げての出直しとなる。今の秋山は“反則野郎”でも“魔王”でもなく、世界最高峰の戦場で勝利を求める一人のアスリートなのである。
“反則野郎”から“正当なUFCファイター”へ。
「次が最後だと思っているので、死に物狂いでいきます」
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UFCを熱心に見ているファンなら、そう語る彼を一人の選手として見ることができるだろう。しかし一方では「UFCには行ってみたいけど秋山の試合は見たくない」という“アンチ秋山”もいる。彼らにとって、秋山はまだ“桜庭を陥れた反則野郎”のままなのだろう。時計の針が止まった状態なのだ。
だが日本で大会が行なわれるとなれば、時計の針は動き出す。五味やKID目当てでチケットを買ったファンも、秋山の試合を見ることになる。
秋山と対戦するシールズは元ストライクフォース王者。抜群のグラウンドテクニックを持っているだけに、決して楽な闘いにはならないだろう。だからこそ、この試合は大きなチャンスでもある。階級転向1戦目で勝つか負けるかだけではない。アメリカでは“ベストバウト男”でありながら、ホームである日本にはいまだアンチがいるという歪なギャップ。それを修正し、過去のイメージを拭い去って、自分が正当な“UFCファイター”であることを示せるかどうか。
秋山はUFC日本大会で、選手生活の分岐点を迎えることになる。