8週後に去る英雄の活躍に、国内4強入りがかかる!?

　最大で8週間のアンリ復帰には、もちろんプラスアルファも期待できる。再デビュー戦のスタメンにかつてのチームメイトがソングしかいなかったように、元キャプテンを知らない現在の若手に、勝者としてのメンタリティなどを説くことには本人も乗り気だ。また、1月後半以降のマンチェスターＵやトッテナムとのリーグ戦、ACミランとのCL16強第1レグといった大一番では、名実共にインパクトのあるスーパーサブとして、ワンチャンスで決定的な仕事をこなし、夢の続きを見せてくれるかもしれない。

　だが、シーズンはアンリが再び去った後も続く。ベンゲルが「必須」と認める、来季CLの出場権を賭けた国内トップ4争いは、僅差のまま終盤にもつれ込む可能性が高い。指揮官は、「レンタル期間の延長は考えていない。考えたくなるほど活躍してくれれば、嬉しい悩みを抱えることになる」と言うが、実際には、切実な悩みと言うべきだろう。現役ではあるが、1カ月前には銅像まで建てられた過去の英雄に、主砲の負担軽減の期待をかけ続けなければならないのだから。

　いざ、愛情溢れる夢物語が終演すれば、目を瞑ることのできない現実を直視するしかない。そして、その夢が甘ければ甘いほど、現実は厳しいのである。