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マンチェスターのUもCもCL敗退……。
ファーガソンは帝国崩壊を防げるか? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2011/12/23 08:01

マンチェスターのUもCもCL敗退……。ファーガソンは帝国崩壊を防げるか?<Number Web> photograph by Getty Images

「ホームでのバーゼル戦(3-3引き分け)がダメだったということ。ケアレスミスで試合に負けたのだから。ここ数年のチーム成績はとりわけ凄かった。世界で最も素晴らしい大会で負けてしまったのは、大いなる損失だ」と敗退したバーゼル戦後に語ったファーガソン監督

開幕5連勝の時点では若返り成功と称賛されていた……。

 だが、メディアの解釈も、CLにおけるマンUのパフォーマンスと同様に説得力に欠ける部分がある。

 チームには、今季開幕前に合計60億円台もの移籍金と引き換えに、ジョーンズ、アシュリー・ヤング、ダビド・デヘアの3名が迎え入れられている。丁度、CLが開幕した9月半ばの時点では、アーセナル戦(8-2)とチェルシー戦(3-1)を含む開幕5連勝で、リーグ首位に立っていたマンUの若返り成功が各紙で讃えられていたはずだ。

 ベンフィカとのCL初戦(1-1)では先制され、続くバーゼル戦(3-3)では18分間で3失点を喫するなど不安定だった守備には、怪我の不運も影響している。

 CBのビディッチは、ふくらはぎを痛めて開幕直後の約2カ月間も欠場していた。SBのダ・シウバ兄弟も、怪我で出入りを繰り返す状態。結果として、CBが本職のスモーリングは、右SBも兼任した。

 より万能なジョーンズに至っては、SBのみならず、12月に入って大腸炎を患っていることが公表されたダレン・フレッチャーをはじめ故障者が相次いだボランチの代役としても起用され始めた。ただでさえトップレベルでの経験が浅い選手が、不慣れなポジションで安定した活躍を見せることは難しい。にもかかわらず、若手主体のマンUは、ベンフィカとのCL第5節(2-2)を迎える前には、国内外で5試合連続無失点を記録できる状態にまでなっていた。

復調の兆しを見せていた8試合連続無得点のルーニー。

 攻撃面では、ルーニーの8試合連続ノーゴールというデータがメディアで強調された。但し、その8試合の中には、純然たるセンターハーフとして、献身的な勝利への貢献が評価されていたはずのCL第4節ガラツィ戦も含まれている。

 しかも、26歳のエースは、たしかに2度のチャンスを生かせずに終わったが、最後のバーゼル戦で復調の兆しを見せてもいた。後半早々、オフサイドトラップを破ってボックス内に進入すると、厳しい角度からカーブをかけてファーポストへと放ったシュートは、惜しくも枠を外れたものの非の打ち所のない一連の動作だった。

 実際、直後のプレミア第15節ウルブズ戦(4-1)でのルーニーは、不振が書き立てられたFWとは思えなかった。ターンをしながらバウンドに合わせ、吹かすことなく左下隅に叩き込んだ、自身2ゴール目のハーフボレー。CL敗退後に「最も重要なのは即座に立ち直ることだ」と語っていた、指揮官の期待通りの一撃だった。

【次ページ】 伸び盛りのジョーンズの継続起用を指揮官は明言する。

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