プレミアリーグの時間BACK NUMBER
マンチェスターのUもCもCL敗退……。
ファーガソンは帝国崩壊を防げるか?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2011/12/23 08:01
「ホームでのバーゼル戦(3-3引き分け)がダメだったということ。ケアレスミスで試合に負けたのだから。ここ数年のチーム成績はとりわけ凄かった。世界で最も素晴らしい大会で負けてしまったのは、大いなる損失だ」と敗退したバーゼル戦後に語ったファーガソン監督
伸び盛りのジョーンズの継続起用を指揮官は明言する。
そしてこの一戦のMVPを選ぶならば、中盤の底でボールを奪っては数十メートルを走破し、相手ゴール前に顔を出し続けたジョーンズになる。
最終的にはCBとして、イングランド代表でも大黒柱としての将来が嘱望されるが、最終ラインのサイドであれ、中盤であれ、マンUで実戦経験を積めるのだから、伸び盛りの19歳にとっては歓迎すべき状況だ。指揮官も、「1月に即戦力を買うつもりはないし、私の信頼が揺るがないことは、彼ら自身が承知している」と、若手登用の継続を示唆している。
CL敗退のショックにもファーガソン御大は意気軒昂。
前回、グループステージでCLから姿を消した2005-2006シーズン、マンUは、リーグカップ優勝で危機説論者を黙らせると、その後の6年間で、国内では4度のプレミア優勝を含む6つのタイトルを獲得し、欧州では2008年の優勝を含む3度のCL決勝進出を果たすに至っている。今季も、国内では最も重要なプレミアとFAカップ、欧州ではELでの可能性が残されている。
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メディアは、大会としてのクオリティとステータスの両面でCLに劣るELを、欧州歴の浅いマンCにとっては価値あるタイトルとしているが、マンUにとっても無意味ではない。ELは、前身のUEFAカップ時代から、ファーガソンが縁のない唯一の主要タイトルなのだ。
「優勝」の二文字に懸けるファーガソンの執念は、成り上がりを狙うマンCにも引けを取らない。今季も、終わってみれば国内外でタイトルを手にし、将来への基盤が強化される結果となるかもしれない。
ファーガソン率いるマンUに限っては、前半戦で危機云々を叫ぶのは禁物。大晦日で70歳となる御大は、CL優勝という最大のモチベーションを早々に失っても、「あと3、4年は指揮を執り続ける」と、「帝国」の更なる繁栄に意欲を見せている。