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ファン人気もバルサがレアルを圧倒!?
スペインの人気調査がついに逆転。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2011/10/19 10:30
世界一の選手メッシ、世界一美しいとされるサッカー戦術を持つグアルディオラ監督。さらに、生え抜きの選手を重用する地元愛……など人気の要素に隙がないバルセロナ
カタルーニャ文化圏では政治的理由で“親バルサ”に。
今回のアンケートが面白かったのは、どのチームのファンがバルサを好み、マドリーを支持しているのかわかった点だ。
“親バルサかつ反マドリー”の傾向は、バスク地方のアスレティック、レアル・ソシエダ、オサスナで強かった。一番の理由は政治的なものだろう。事実、以前レアル・ソシエダを取材した際、クラブの広報に「うちは、バルサは好きだ」と言われたことがある。マドリー戦の最中、スタンドから湧き起こるバルサコールを耳にしたこともある。
またスポルティング・ヒホンも反マドリーのバルサ派だ。こちらは'80年代のキニ、'90年代後半のルイス・エンリケ、現在のビジャと、出身選手がバルサで大活躍してきた歴史があるから。まずマドリーに移籍し、その後バルサに入ったルイス・エンリケは、マドリーを毛嫌いしてきた。その辺りもファンの心情に影響を及ぼしているかもしれない。
その他バルサを支持しているのは、同じカタルーニャ文化圏に属するマジョルカ。反マドリーという立場から、バレンシア。アトレティコ、ビジャレアル、サラゴサのファンの中にもバルサを好む人は多い。
「敵の敵は味方」でマドリーを支持するファンも。
逆に親マドリー派が多いのは、'02年のアンケート結果と同じ、アンダルシア州と地元マドリー州だった。前者ではベティス、セビージャ、グラナダのファンが、後者ではヘタフェとラージョのファンが、マドリーになびいている。ラシン、レバンテ、エスパニョールのファンにも支持者が多い。
こちらの理由で最も強力なのは、スポルティングとバルサの関係同様、「出身選手がマドリーで大成功したから」というものだろう。例えば、ラシンから出た選手には'50年代末の欧州5連覇に貢献したヘントや、'70年代から'80年代の終わりまで大活躍したサンティヤナがいる。ベティスからは'80年代にゴルディージョがやってきてファンの心を掴んだ。ラージョとの絆を作ったのは'50年代のベラスケスや、マドリーで歴史に名を刻んだ後ラージョでプレーしたウーゴ・サンチェスだ。
また「同地区のライバルが反マドリー」というのも、マドリー側に付く立派な理由になっている。「敵の敵は味方」という考え方で、エスパニョールやレバンテはこれに当てはまる。一方で、ヘタフェは会長からしてマドリーのソシオなので、マドリー一派となるのは当然だ。