Jリーグ観察記BACK NUMBER
絶望的な観客動員数――。
今こそナビスコカップの改革を!
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/10/08 08:02
10月5日名古屋対新潟戦、延長前半に名古屋のFW永井謙佑がヘディングを一度GKに弾かれるも押し込んで同点に追いつき、逆転の足がかりに。両チームあわせて8ゴールが決まる白熱した試合となったが、観客数はいまいち。後ろにはガラガラのスタンドが見える
雨が降ったことを差し引いても、準々決勝にしてはあまりにもさみしい観客数だった。
10月5日、水曜日に行なわれたナビスコカップ準々決勝の観客数は、C大阪対浦和が6,736人、G大阪対磐田が4,112人、名古屋対新潟4,108人、鹿島対横浜FMが4,804人……。興行として採算が合うのか不安になるような数字だ。
このラウンド以降はホーム&アウェーではなく、1試合で勝利した方が勝ち上がるというノックアウト方式が採用され、本来であればいつもより注目度が高くなってもおかしくなかった。だが、その魅力をうまく告知できなかったのだろう。
鹿島が0対2から逆転したり、浦和が追いつかれながらも終盤に決勝点を決めたり、好勝負が多かっただけに、内容に見合わない観客数しか集められなかったことが悔やまれる。
ただし、準々決勝以前も、決してナビスコカップの観客数が良かったわけではない。1回戦の第1戦(6月5日)の平均は約12,100人とまずまずだったが、第2戦(7月27日)は約7,900人。2回戦の第1戦(9月14日)は約9,300人で、第2戦(9月28日)は約9,000人。イレギュラーな日程など震災の影響もあったとはいえ、平均が1万人を超えたのは最初だけだった。
参加条件を絞ることで大会の“プレミア感”を創出せよ。
こういう厳しい状況に、Jリーグも危機感を抱いているのだろう。
9月の理事会ではナビスコカップの改革案が話し合われ、テコ入れとしてJ2を参加させることも検討された。J1対J2という対戦が増えれば、「番狂わせが起こるか?」というわかりやすい見所ができるからだ。ひとまずこの案は見送られたが、これからもJ2勢のナビスコ参加は引き続き議論されていくだろう。
とはいえ、J1とJ2から誰もが参加できるとなると、大会の価値が下がってしまう可能性もある。
現状のナビスコカップの最大の問題点は、“プレミア感”に乏しいことだ。
国立競技場で行なわれる決勝はすでに特別な舞台として確立されているが、それ以外のラウンドは注目がそれほど高くはない。
今、ナビスコカップが取り組まなければいけないのは、逆に「参加条件を絞る」ということではないだろうか。それによって特別な舞台という認識が高まるはずである。