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27年ぶり悲願のWG復帰。
選手に傾けた監督の愛情。
~男子テニスが世界ベスト16入りへ~
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byHiromasa Mano
posted2011/10/05 06:00
プレーオフでスペインに敗れ降格した1985年には、錦織、伊藤、杉田はまだ生まれていない
16カ国からなるワールドグループ昇格は日本の悲願だった。初参加の1921年に準優勝するなど戦前は世界の強豪国にも数えられた。しかし、現在のWG制が採用された'81年以降、日本が同グループで戦ったのは'81年と'85年の2度だけ。アジア/オセアニアの地域グループを勝ち抜いても、プレーオフ(入れ替え戦)の壁に阻まれ続けた。
最も世界に近づいたのは'07年のプレーオフ、ルーマニア戦だった。2勝1敗で迎えたシングルス、鈴木貴男は先に2セットを奪い、WG昇格まであと1セットとした。ところがここから3セットを続けて失い、逆転負け。第2試合の添田豪も惜敗し、昇格を逃したのだ。ただ、今思えば、当時の代表はWGで戦うには力不足だった。鈴木は四大大会も経験し、添田も成長していたが、トップ選手の目安である世界ランク100位以内の選手はいなかった。これでは、昇格しても活躍は望めなかっただろう。