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<常識を超え続けた60年> 常総学院 「木内幸男、名将最後の哄笑」 

text by

中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2011/08/25 06:00

<常識を超え続けた60年> 常総学院 「木内幸男、名将最後の哄笑」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

県大会準決勝で藤代に破れ、球場を後にする木内。陽気な中にも寂しさが覗いた

巧みな人心掌握、戦術眼に裏打ちされた奇策、そして豪快な語録。
数々のトリックを携えて、3度も全国を制した稀代のマジシャン。
その最後の夏を追い、逸話に彩られた異端の監督術を改めて辿る。

 ピリオドではなく、コンマのような終わり方だった。そう、まだ続きがあるような。

 場所は、茨城県の「聖地」とでも呼ぶべき水戸市民球場。時計の針は、午前11時50分を回ったところだった。

 9回表、2死一、三塁。代打・吉澤宗希の当たりは、ボテボテのショートゴロになった。まだ、信じられなかった。ショートが難なく捕球し、二塁へ送球する。それでもなお、頭がすぐには現実についていけない。

 歓喜と、ざわめき。それらが同時に沸き起こる。

 常総学院のスコアボードには、確かに、「0」が9つ並んでいた。

 0-2。

 2011年7月27日。晴天。木内幸男が率いる常総学院は、茨城大会の準決勝で敗れた。相手は第4シードの藤代だった。最後の夏だというのに、甲子園まで、あと2勝も、足りなかった。

「甲子園行ったら、パンダになっちゃうからナー。どっちでもよかったんだよ、ホントの話。ガハハハハハハ」

 試合後、木内は、取材陣と接するときはいつもそうであるように、あくまで陽気に振る舞った。ときどき聞き取れなくなるほどの強い茨城訛り。それさえ付け足せば何を言っても許されてしまいそうな豪快な笑い声。興奮してくると白い泡がたまってくる口の端。それらも、いつも通りだった。

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