ジーコ・ジャパン ドイツへの道BACK NUMBER

2006年 ドイツW杯 グループF VS.オーストラリア 

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木ノ原句望

木ノ原句望Kumi Kinohara

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photograph byNaoya Sanuki

posted2006/06/14 00:00

2006年 ドイツW杯 グループF VS.オーストラリア<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 「チャンスに決めていれば試合は終わっていた」。

 試合後、悔しそうに日本代表のジーコ監督はそう言った。ずっと抱え続けていた決定力不足の課題は、ワールドカップ(W杯)大会の舞台でも当然のように日本を悩ませることになった。

 6月12日、カイザースラウテルンで行われたグループリーグ初戦のオーストラリア戦で、日本はMF中村の前半のゴールで先制しながらも、後半終盤8分間で3失点を許して1−3で負けた。

 32年ぶりの出場になるオーストラリアに対して、3大会連続出場の日本は立ち上がりから自分たちのプレーを試みた。そして、前半26分に中村が右サイドから相手GKの頭上を越えるロビングボールを放って先制した。

 日本はFWビドゥカやキューウェル、ブレシアーノらを中心としたオーストラリアの攻撃にあいながらもGK川口のファインセーブなどで逃げ切り、前半を1−0で終了。後半も14分にFW高原、同31分にはFW柳沢がGKシュワルツァーと1対1になる絶好の得点機会を作ったが、いずれもネットを決めることはできなかった。

 午後3時のキックオフ。日陰に設けられたフリッツ・ウォルタースタジアムのスタンドの記者席でも、温度計は前半途中で32度を示していた。日本とは違う、射るような日差しの強さを感じさせる暑さが、じわじわと選手の体力を奪っていき、後半途中には選手の足が止まり始めた。体力の消耗はミスを誘い、思考も低下させる。

 柳沢が決めきれなかった後半31分の場面も、体がついて行かないという感じだった。この暑さと、3月末に負った骨折から回復して以来2試合目という事実を考えれば無理もないことかもしれない。

 前線から中盤で相手を自由にさせる場面が増えてくれば、相手がボールを支配し、こちらは徐々に押し込まれてしまう。ベンチから元気な選手を送り込んで、中盤と前線の動きを活性化させて、守備の負担を減らす必要があったはずだ。FW巻やMF稲本を起用すれば、相手の出方を押さえながら、カウンターでの1発に彼らの得点感覚を生かすこともできる。

 だが、DF坪井の負傷交代以外、ジーコ監督はなかなか動かなかった。

 ようやく動いたのは後半38分。柳沢に代えてMF小野を投入。さらに終了間際の同45分には途中出場のDF茂庭に代えてFW大黒を投入したが、時間も遅ければ、投入選手の選択も首をかしげるものだった。

 「勝っているチームは変えない」という哲学を持つ指揮官だが、大会を勝ち抜くために必要な交代もある。「FWは変えたくなかった」と試合後に話したが、ベンチのメンバーには先発2人ほどの信頼を置けていなかったということなのか。

 一方、オーストラリアのヒディンク監督は交代を積極的に活用した。後半8分に攻撃的MFケイヒル、同16分に長身FWケネディ、さらに同29分にはFWアロイージを投入して、日本にプレッシャーをかけ続けた。そしてそれが逆転劇を生む3つのゴールにつながった。しかも、ボンでの練習でもなんどとなく確認した、警戒していたセカンドボールを拾われての失点だった。しかも得失点差を考えると3失点はあまりに痛い。

 中村は、「途中までうまく行っていた。(小野)伸二が入って中途半端になった」とコメントした。

 GK川口は、「初戦の気負いはなかったが、最初から本来のプレーができていない選手もいた。セカンドボールを拾われて攻められたことが一番の敗因。勢いよく攻め込まれてチームとして耐え切れなかった。同点にされて、チームは思った以上に落ち込んでしまった」と語った。

 だが、その川口も失点前までは好セーブを見せていたが、同点を許した場面では左サイドからのロングスローに飛び出しながら、ニアサイドで味方ディフェンス陣と交錯してボールに触れず、そのままこぼれ球から同点弾を許してしまった。

 残念ながら日本には、立ち上がりの慎重さも、ミスを補うコミュニケーションも体力も、警戒していたプレーを阻止する力も、効果的なベンチワークも見られなかった。

 ジーコ監督は、「初戦の結果としては非常に残念だが、悔やんでも仕方がない。昨年のコンフェデレーションズカップでも同じような状況になったがそこから盛り返した。次の試合へ気持ちを切り替える」と話した。

 いきなり苦境に立たされたジーコ・ジャパン。監督と選手の力量が試されている。

 日本の次の対戦は、6月18日のニュルンベルグでのクロアチアだ。

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