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アウェーで勝てず、ホームで強い。
堅守を武器に健闘するマジョルカ。 

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中嶋亨

中嶋亨Toru Nakajima

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photograph byGetty Images

posted2010/01/16 08:00

アウェーで勝てず、ホームで強い。堅守を武器に健闘するマジョルカ。<Number Web> photograph by Getty Images

試合前から雪が降り積もるピッチで行われた第17節R・マドリーvs.マジョルカ。前半8分、後半5分に失点し完敗したマジョルカだったが……

檄文だらけのロッカールームが選手の気迫と根性を育む。

 守備の充実と攻撃陣の成長によって上位をキープしてきたマンサーノが実践したことがもう一つある。それは、メンタル面のトレーニングだ。

 メンタル強化といっても、様々なデータを取って精神の状態を数値化しそれぞれに適したメンタルトレーニングのメニューを作るという最先端のものとは程遠いという。

 マンサーノがやったのはロッカールームのいたるところに、メッセージを書いた紙を貼りつけたことぐらいだ。

「戦わなければ負けることすら知ることができない」

「勝利を求めているからこそビビるのだ。恐怖心を恐れるな、それすらも力の源だ」

「今日で全てが変わる」

「最後に勝つのは強者じゃない、戦い続けた者が勝者になる」

 これらのメッセージを書いた紙が、マジョルカのロッカールームには至る所に貼り付けてあるのだ。

古典的な根性主義だが意外にも効果は抜群であった。

 こういった紙がロッカールームに貼られているのは、スペインでは珍しいことではない。

 筆者が練習に参加したことがあるマドリー近郊の3部リーグのチームのロッカールームにも同じようなものが貼ってあった。だが、ここまでビッシリと、至る所に貼ってあるというのは珍しい。

 入り口からシャワールーム、選手のロッカーとあらゆるところにメッセージが貼り付けられ、選手達はそのメッセージを見続けている。

 レアル・マドリーの下部組織で育ち、グラネロ(レアル・マドリー)やマタ(バレンシア)、ネグレド(セビージャ)らとレアルBで同僚だったボルハ・バレーロは、「こんなロッカールームは初めてだ」と言いつつ、マンサーノのこの古典的なメンタル強化は実を結んでいると認めている。

「ロッカールームに入ってから家に帰るまでの時間でこういうメッセージを見続けることは、わかっていても忘れそうになることを頭に植え付けさせる。実際、ロッカールーム内に貼ってあるメッセージを俺は全て憶えてしまったからね。監督が求めているのは、個人の意識にこういう戦うために必要なメッセージを植えつけることで、それがチーム全体に染み渡ることだと思う。ピッチでどういう振る舞いをするべきか、ロッカールームの至る所にその答えが貼ってある」

【次ページ】 完敗したレアル戦で伝わってきたマジョルカの“強さ”。

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