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アウェーで勝てず、ホームで強い。
堅守を武器に健闘するマジョルカ。 

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中嶋亨

中嶋亨Toru Nakajima

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posted2010/01/16 08:00

アウェーで勝てず、ホームで強い。堅守を武器に健闘するマジョルカ。<Number Web> photograph by Getty Images

試合前から雪が降り積もるピッチで行われた第17節R・マドリーvs.マジョルカ。前半8分、後半5分に失点し完敗したマジョルカだったが……

 17節を終えて中盤戦に入ろうとしているリーガにあって、予想外の健闘を見せているのがマジョルカだ。

 17節ではレアル・マドリーとのアウェー戦に敗れたものの、開幕からここまで6位以上をキープし続け、CL出場圏内の4位にまで顔を出すようになってきている。この時点でマジョルカが上位につけていることを開幕前に予想した者は誰もいなかっただろう。それどころか、昨季までの主力選手を多く放出した一方で、クラブの経営権を巡る騒動で補強が全く進まなかったマジョルカは降格候補に挙げられることの方が多かったのだ。

 開幕からここまで6位以上をキープしているものの、マジョルカが“健闘している”と騒がれるようになったのはここ最近のことだ。それは、強い印象を残さずにマジョルカが勝ち点を増やしてきたからだ。

 17節終了時点で9勝5敗3引き分けという戦績の中でマジョルカが連勝したのは一度しかなく、その連勝も14節と15節での2連勝でしかない。アウェーでの勝利は14節の対オサスナ戦の1勝のみで、1勝3引き分け4敗という厳しい戦績になっている。ところが、ホームでのマジョルカの戦績は一変して、8戦全勝という成績を残しているのだ。

 ホーム無敗どころか、引き分け無しで全勝しているのはマジョルカとリーグ2位のレアル・マドリーの2チームしかいない。

 アウェーの戦績だけを見れば降格候補という予想が的中していながら、ホーム全勝という驚異的な成績で上位をキープしているのだ。

“残留請負人”の異名を取るマンサーノ監督の組織作りとは。

 このマジョルカのホームでの強さの秘密は、マンサーノ監督のチーム作りにある。

 昨季の主力だったフラド、クレベールがレンタル元のアトレティコに帰り、長年エースを務めてきたアランゴもチームを去った。だが、主将ヌネスや中盤の柱であるマルティ、U-21スペイン代表のマリオ・スアレスら守備の選手達を軸にして、マンサーノは堅守を築くことに成功した。

 ホームでの8試合でマジョルカの失点はわずかに3点しかなく、得点の大半はカウンター攻撃やセットプレーから奪っている。これまでも降格の危機に瀕しているチームの守備組織を整備しなおして残留に導いてきた“残留請負人マンサーノ”の本領発揮と言えるだろう。

 ただ、勝利をモノにするためのゴールを奪う攻撃陣に関してはマンサーノにとって嬉しい誤算があったと言えるだろう。

 今季はエースストライカーに成長したFWアドゥリス、スピード豊かなドリブルでカウンターの急先鋒となるチョリ・カストロ、守備からカウンターへの起点となり正確なキックでセットプレーでも力を発揮しているボルハ・バレーロなどが、見事な活躍を見せているのだ。昨季はフラドやクレベール、アランゴらの陰に隠れていたこれらの選手は、試合毎に個人で状況を打開する力をつけつつあるとまで感じさせるほど。リーガ注目の選手に成長しつつある。

【次ページ】 檄文だらけのロッカールームが選手の気迫と根性を育む。

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