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ヤンキースに明日はあるか? 

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李啓充

李啓充Kaechoong Lee

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2007/07/19 00:00

ヤンキースに明日はあるか?<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 7月16日現在、ヤンキースが46勝44敗(首位に9ゲーム差)と低迷している。しかも、ただ低迷しているだけではなく、ジェイソン・ジアンビ、ジョニー・デーモン、ボビー・アブレイユ、…etc.と、高給取りに「落ち目」の選手が多いだけに、その将来は非常に暗いように見える。長期的に見た場合、はたして、ヤンキースに明日はあるのだろうか?前回のデビルレイズに続いて、今回はヤンキースの長期展望について論じる。

 ヤンキースが危機的状況に陥った原因は、メジャー一の財力に物を言わせて、スーパースターを買い集める戦略に徹してきたことにある。スーパースター獲得のためにトレードで若手有望選手を放出することを繰り返してきたためにマイナーに有望選手が枯渇、たとえば、『ベースボール・アメリカ』誌の「才能度(talent ranking)」評価が、2004年27位、2005年24位と、メジャーでも最低レベルに落ち込むまでになったのだった。

 しかし、2005年以降、ブライアン・キャッシュマンGMが「若返り戦略」を主導、トンネルの出口に明るい光が見えるようになっている。若返り戦略の成果は着々と現れつつあり、たとえば『ベースボール・アメリカ』誌の「才能度(talent ranking)」評価も、今季、5位にまで上昇した。特にドラフトやトレードで若手投手をかき集めてきたことが絶大な効果をあげ、傘下2Aのトレントン・サンダーに有望投手があふれかえり、メジャー他チームの羨望の的となっているのである。

 最近のマイナーリーグの傾向として、3Aを飛び越えて2Aから直接メジャーに昇格するケースが増えているが、その原因の一つは、「レギュラーとしてメジャーに定着はできないけれど、怪我人などが出た場合に代役としてメジャーに昇格する」クラスのベテラン選手が3Aのロースターのかなりの部分を占めるようになったことにある。その結果、下から順調に昇格してきた若手選手が2Aに集中するようになり、2Aのレベルは昔と比べてはるかに高くなっている。

 その高くなった2Aのレベルで、トレントン・サンダーは、なんと、チーム防御率2.63と、驚異的な投手力を誇っている。しかも、9イニング当たりの奪三振数は8.6、毎回三振が取れるような剛速球投手ばかりを揃えているのである。他チームのフロントが、いま2Aにいる、フィル・ヒューズ(21歳)、ジョバ・チェンバレイン(21歳)、イアン・ケネディ(22歳)等がヤンキースのローテーションを構成する2、3年先を想像して、恐怖感を覚えるのも当然だろう。

 ヤンキースのマイナーに野手の有望選手が少ないのは事実だが、自軍傘下のマイナーにこれだけ有望な若手投手を揃えていれば、豊富な資金力をスター野手の獲得に集中することで、何年も続く「黄金時代」を築くことは極めて容易である。「ヤンキースに明日はある」どころか、2、3年先には「メジャーの他のチームにはまったく明日がない」時代がやってきかねないのである。

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