コンパクトなスイングになったイ・スンヨプ同様に……。

　日本のボールも「飛ばないボール」になったとはいえ、メジャーに比べればまだまだ飛距離は出る。キムほどのパワーがあれば、多少芯を外したとしてもスタンドインしてしまうだろう。となれば、日本の投手の精密なコントロールに対応しようと、少しずつ打撃もコンパクトになっていってしまうことも考えられる。

　思えば、イ・スンヨプ（巨人）も、日本を経由してからのメジャー挑戦を宣言していたものの、結局は実現せず、日本の野球に順応するのと比例して長距離打者としてのスケール感も年々、失われていってしまった。

キムが今のスタイルのままメジャーに行った姿を見たかった。

　日本とメジャーでは根本的に野球の質が違う。それは「思想」の違いでもある。

　韓国から日本にやってきて思想を変え、メジャーに行ってまた変える。いや、戻すと言ってもいいだろう。その時間が無駄な気がしてならない。

　アジア人で、あれだけの存在感のあるパワーヒッターはそうはいない。彼がメジャーでどれだけ通用するのか。できれば、今のスタイルのまま、それを確認してみたかった。

　契約期間が終了する3年後、キムはどんな打者になっているのだろうか。期待と同じくらい、不安も大きい。