日本代表、2010年への旅BACK NUMBER
岡田ジャパンの課題明確に。
テーマは「さぼり」と「リズム」?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2009/09/07 13:05
本田圭佑のプレーに批判が集まっている。
アウェーのオランダ戦。0-0で前半を折り返し、後半から玉田圭司に代わって4-2-3-1の2列目で起用されたのだが、孤立してしまった。VVVフェンロで求められているように攻撃に比重を置いたため、守備における本田のプレッシングが甘かったのは事実。本田の攻撃重視の姿勢から、次第に守備の連動がスムーズにいかなくなり、後半20分過ぎからチーム全体の足が急に止まってしまうのである。後半24分、ファンペルシーに先制を許したあとは、対応が後手を踏み、18分間に3点を奪われてしまう。
全員守備、全員攻撃を貫徹するために必要なこととは?
岡田武史監督は試合後の会見でこう述べた。
「日本の場合、チーム全体で戦っていくことが必要。1つでもピースが欠けると攻撃は足りなくなるし、守備も守れないということがはっきりした」
「最初が抜けると後ろだけでは止められない、90分やりとおすことが必要」
「欠けたピース」が本田を指していることは明らかだ。「全員守備、全員攻撃」を徹底できなかったことに敗因があったというのが指揮官の分析だ。
では本田が玉田のように激しくフォアチェックしておけば、日本の悲劇は生まれなかったのだろうか。
そうではないだろう。いずれにせよ、守備の崩壊は起こっていたように思える。あれだけ連続でハイプレスを仕掛けていけば、途中で息切れしてしまうことはある程度予測できた。ハイプレスが功を奏した前半を終えたところで、「本当に90分間持つのか」と少なからぬ人が不安を覚えただろう。だから、本田の存在はあくまできっかけに過ぎず、敗因の議論はハイプレスの是非に向かうべきだと思えてならない。
アジアなら通用するハイプレスも世界クラスでは通じない。
前線からのプレッシングは、岡田ジャパンのコンセプトの中でも根幹にあたる部分だ。FIFAランク3位のオランダに通用すれば、W杯ベスト4の目標にわずかながらでも希望が見出せる。今まで戦ってきたアジアレベルであればボールを日本が持つ時間が長いため、守備に回ったときにハイプレスは徹底できた。だが、オランダのような世界トップクラスになると、逆にボールを保持する時間が短くなる。つまり守備の機会が増えるということは、当然プレッシングの回数が増える。ボールを奪えなければ、その時間も長くなるというわけだ。
次第に本気になっていくオランダの攻撃を、ガス欠になった日本の守備で食い止められるわけがなかった。ファンペルシーの1点目も、スナイデルの2点目も崩されているわけではない。オランダをペナルティーエリアに入れてしまえば、失点してしまう確率が高いということ。だからこそ、その前に食い止めなければという考えは理に適っているのだが、息切れしては意味がない。「90分やり通す」ことを全員に求めないと成立しない戦い方は、世界の列強相手ではあまりにもリスクが高い。