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大統領もGoサイン!
2010年、韓国でF1初開催へ。
~来年は隣国へF1観戦旅行!~
text by
西山平夫Hirao Nishiyama
photograph byKYODO
posted2009/11/01 08:00
ソウル五輪、日韓共催W杯なども国家的事業として推進してきた韓国政府。このご時世で李明博大統領が目をつけたのがF1グランプリだった!?
建設中のサーキットはソウルから320kmのヨーアン。
関係者の話ではすでにサーキット建設が始まっているということで、設計者が最近のF1サーキット・デザインを一手に引き受けているドイツのヘルマン・ティルケであってみれば、まず開催間違いなしとみてもよさそうだ。
サーキットは1周5.6km(セパレートの3kmコースも併設)と長く、F1コースでは最長となる1.2kmのストレートを有するというのが“ウリ”で、1万3000席のグランドスタンドをはじめ、最大13万5000人を収容することができるという。きっと320km/hのトップスピードで疾駆するマシンを初めて見る韓国のF1ファン達は、「アイゴー!」と歓喜の声を挙げるに違いない。
場所はヨーアン(YEONGAN)というところらしいが、筆者の勉強不足でこれがどこかよく分からない。今年の中国GP(上海)のプレスルームに視察に現れた韓国のメディア団に「場所は? 漢字のスペルは?」と訊くと「ちょっと待て。後でインターネットで調べるから」と言われガックリ。彼らとてそれほど詳しいわけではないのか……。そのうち紙に書かれて返って来た答が「靈巖」だったが、はて、そんな地名があったかしらん?
なんでも首都ソウルからは320km離れているそうで、どうも朝鮮半島南岸の西方、全羅南道の木浦(モッポ)の近くらしい。そんなところ……と言っては失礼ながら、果たしてF1を開催するインフラがありやなしや。さぞケッサクな椿事が出来するのではないかと予想もできるが、まぁそれも楽しみのひとつとしたい。
マッコリとエイ刺しの街でのGP。正式発表はもうすぐ。
韓国のモータースポーツといえばつい数年前まで国際格式のF3レース「コリアン・グランプリ」が有名なマカオGPと連戦で行われており、これがかの国のほとんど唯一のビッグイベントだった。
サーキットは釜山から西に高速バスで1時間ほど行った都市・馬山の近くの昌原(チャンウォン)という街にしつらえられた公道コースだった。韓国は電車が通っていない地域は高速バスがフォローしていたと思うが、「靈巖」へも釜山あたりからバス移動なのだろう。しかし、できればヒュンダイの人気車種「ソナタ」をレンタルして訪れてみたいものである。
そして欧米のメディア仲間を屋台店(ホジャンマジャ)へ招待し、濁酒(マッコリ)で酔わせておいて、木浦名物のガンギエイの刺身(洪魚鱠:ホンオフェ)を食わせてやりたいなと今から企んでいる。
ホンオフェとは醗酵学者の小泉武夫先生によれば、「口に入れて噛んだとたん、アンモニア臭は鼻の奥を秒速で通り抜け、脳天に達す。この時、深呼吸をすれば百人中九十八人は気絶、二人は死亡寸前となる」というシロモノ。クサヤなんぞの比ではないらしい。
そんなことどもを想像しながら、早くFIAから正式カレンダーが発表されないかなと待っている、最終戦アブダビ前夜である。