日本代表、2010年への旅BACK NUMBER
中澤、闘莉王に強力ライバル!
“世界サイズ”のCB岩政大樹。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNaoya Sanuki
posted2009/10/13 15:00
岩政の活躍が、中澤、闘莉王をさらに本気にさせるはず。
東京学芸大を卒業し、数学の教員資格を持つ異色の経歴を持つ。「数学とサッカーは通じるものがあるんです」とカバリングの読みなどで数学を応用してきたという。代表に呼ばれない時期が長くなり、絶望を覚えたこともあった。しかし、「鹿島で結果を残すことが復帰への道」と言い聞かせ、自己改革に励み続けた。'08年は鹿島の2連覇に貢献するとともに、2年連続でJリーグのベストイレブンにも選ばれている。
「バランス」でストロングポイントを磨き、「読み」でスピードを補った彼は、満を持して先のオランダ遠征でついに代表復帰を果たしたのだ。
まだ代表選手として踏み出したに過ぎない。だが、待ち望んだ一歩を記せたことで、岩政の目には涙が浮かんでいるようにも見えた。そして、昨年結婚し、スタンド席でデビュー戦を見守った千香子夫人に、感謝のメッセージを送った。
「実は今日、奥さんの24歳の誕生日だったんです。長い間、代表に呼ばれなくなって、でも、やっぱり代表の試合はテレビで見なくちゃいけない。見ていると、その場に自分がいないから、奥さんに当たり散らすこともあった。妻や親を含めて、本当にいろんな人に迷惑をかけてきたと思うので、今は感謝の気持ちでいっぱいです」
岩政の活躍は、ライバル不在だった中澤、闘莉王にも刺激を与えたことだろう。石川、森本の招集が攻撃陣に刺激を与えたように、最終ライン、特にセンターバックの活性化が、必ずやチームの底上げにつながっていくに違いない。