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“飛ばないボール”の問題じゃない!?
極端な投高打低の意外な理由とは。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2011/06/14 10:30
セ・パ担当制の撤廃を受け、審判部はキャンプイン前に1泊2日の“合宿”を行なうなど、リーグ間の微妙な違いの統一を図った
投手がほくそ笑んでいる。
理由は、数字が証明する。
今季の両リーグの投手成績(6月8日現在、以下同)を見れば “異常事態”は、一目瞭然だからだ。
まずはパ・リーグ――。
投手成績のランキングを見るとトップのロッテ・唐川侑己投手(1.32)から西武・帆足和幸投手(1.98)まで防御率1点台の投手がずらっと12人も並んでいる。昨年の防御率1点台は日本ハム・ダルビッシュ有投手(昨年が1.78で今季は1.42)だけだったことを考えると、好投手が異常増殖していることになるわけだ。
一方のセ・リーグもトップの巨人・内海哲也投手(1.14)から中日・川井雄太投手(1.74)まで4人の防御率1点台の投手がいる。数こそパ・リーグの3分の1だが、これとて昨年は防御率トップが広島・前田健太投手の2.21だったことを考えると、数字は明らかに跳ねあがっていることになる。
この数字を見れば、ピッチャーたちがほくそ笑むのも、当たり前となるわけだ。
投手好成績の最大の理由は、ボールの違いだといわれている。
「芯を外れたボールは去年より2~3メートルは飛距離が落ちる」
今季から採用された“飛ばないボール”は、当然のように投高打低の現象を生んだわけだ。
「芯を外れたボールは去年より確実に2~3メートルは飛距離が落ちるので、より正確なコンタクトが求められている」
巨人のアレックス・ラミレス外野手の証言だ。
実際に昨年はパ・リーグの本塁打数は1試合平均1.72本だったのが、今季はここまで1.19本と減少。セ・リーグはもっと顕著で昨年の1試合平均2.00本に対して、今季は1.23本と激減している。
特にセンターから逆方向への長打を特長としていた巨人・小笠原道大内野手や中日・森野将彦内野手、西武・中島裕之内野手やオリックスのT-岡田外野手らが数字的に低迷しているのは、ボールの影響が大きな原因となっていると言えるだろう。