MLB Column from WestBACK NUMBER

プロ23年目の桑田が達した“境地”。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byThomas Anderson/AFLO

posted2008/03/18 00:00

プロ23年目の桑田が達した“境地”。<Number Web> photograph by Thomas Anderson/AFLO

 「キャンプに参加させてもらえるだけで本当に有り難いんです。(右足首の)手術もしましたし、(契約の)オファーが来ない可能性だって大きかったわけですから。こうして野球選手としてキャンプ初日を迎えられるというのは特別な思いがあります」

 2月15日のキャンプ初日に、桑田投手は言葉を噛みしめるように話してくれた。単なる個人的なメジャー挑戦に留まらず、プロ23年目のシーズンを迎える機会を与えてくれたパイレーツへの感謝の気持ちがある分、他の選手たちとは違う達観した境地に達しているような気がする。

 仮に桑田投手がスプリング・トレーニング中にカットされてしまった場合、そのままパイレーツのマイナーリーグに回ってメジャー昇格の機会を待つのか、それとも即座にチームを離れるのか、桑田投手はその辺りをまだ明確にしていない。ハンティントンGMは、その場合桑田投手と話し合いを行い、彼の意志を尊重したい旨を言明している。いずれにせよ、あと2週間足らずで桑田投手が野球人生の新たな“節目”を迎えることになる。

 「長くやればいいというもんじゃない。でも人に格好悪いとか、みっともないとか言われても気にしないで、自分がやりたければやるべきだと思う。自分の人生じゃないですか。わがままや意地でやっているのはダメだと思うんですけど、野球が好きじゃないとここまで長くできないですよ」

 スポーツ紙等で“野球伝道師”と形容されることもある桑田投手。今回のスプリング・トレーニング取材を通じて、野球に対して常に真摯な彼の生き様に、多くの人々が共感、感動を抱くのも至極当然なことだと思い知らされた。

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桑田真澄
ピッツバーグ・パイレーツ

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